「うえ~ん。うえ~ん。」
ある日突然息子の虎豆が泣き出しました。
「虎豆どうしたの?」
寝かしつけの時に泣き止まず、私にしがみついて離れようとしません。
いつもならすんなり寝るはずなのにどうして?一生懸命あやしましたがダメでした。
新生児の息子と一緒に眠れない・・・
実は、それにはちゃんと理由がありました。虎豆なりの意思表示だったのです。
虎豆がこれまで我慢していたあることを鈍感な私に気づかせてくれました。
話は虎豆が生まれた時に遡ります。
私には持病がある為、病院では看護師さん、退院してからはおばあちゃんに虎豆をお願いして、新生児の時から離れて寝ることが多い毎日でした。新生児室に戻る時間になると、泣き出していた虎豆を今でも忘れられません。
体調を回復させる為に睡眠時間が必要だったので、一緒に寝たい気持ちを抑えて離れて寝ていました。夜中に泣き声がすると胸が張り裂ける程辛い時期もありました。
息子が教えてくれたこと
それでもなかなか調子が戻らず動けない日が続きました。
暑い夏は特に体調が悪く、1ヶ月おばあちゃんに虎豆をお願いして、一緒に寝られない時もありました。
秋になると少しずつ、虎豆を寝かしつける時に、私にしがみついては泣き出す日が続きました。
あまりに泣き止まないので虎豆に聞きました。
「虎豆、ママと寝たいの?」
そう聞くと泣き止み私の方を見つめています。
私はこの子と寝たいと思って言いました。
「ママ、虎豆と寝るね。」
虎豆は目を瞑って安心した様な表情になりました。
虎豆が寝た後、おばあちゃんと長く話していると突然「ギャー!」と叫び声がしました。
びっくりして虎豆に駆け寄ると、起き上がってキョロキョロと私を探していました。
私を見るとホッとした様子になり見つめています。
慌てて虎豆に私は言いました。
「虎豆ごめん。ママ早く寝るね。」
その後泣きながらしがみつく虎豆を抱きしめて謝りました。
「ずっとママと寝たかったのに調子が悪くて寝られなくて本当にごめんなさい。」
虎豆は黙って聞いています。
私は手を握り言いました。
「虎豆がママと一緒に寝られるって気づかせてくれたんだね」
虎豆は手を握り返します。
その晩私を必要としてくれていた虎豆の握手が嬉しくてたまりませんでした。
虎豆の手を握って寝顔を見ながら涙が出ました。
この子はずっと私と一緒に寝たかったのに我慢していたことに気づきました。
私は虎豆に甘えていたんだと反省しました。
息子と一緒に眠れる喜び
今からでも遅くない!この子の望むことが出来るように、一緒に寝ることを頑張ろうと思いました。
その晩は握手しながら2人でぐっすり寝てしまいました。虎豆の泣き声で起きると身体はしんどいけど一緒に寝られた、嬉しくてとても幸せな朝でした。
抱っこしながら虎豆に言いました。
「おはよう虎豆」
嬉しそうにニコっと口を開けて笑う虎豆の姿が目に焼きついています。
病気とつき合いながらなので毎日はなかなか難しいですが、その出来事があってから少しずつ虎豆と一緒に寝られる日が多くなりました。
同時に、他のことをしている自分の時間を減らすことで、虎豆の寝かしつけの時間が嬉しい時間に変わりました。
私は好きなことが多いので、他のことを考え過ぎて虎豆と一緒に寝られないと、辛く情けない気持ちになります。でも虎豆の待つ部屋に行くと、辛い気分や悲しい気持ちが吹き飛ばされて温かい笑顔に癒やされて一緒に寝られる時間が幸せです。
これからも、少しでも一緒に寝られる日が増えるよう、健康に気をつけながら努力しようと思えた、大きな転機になった出来事です。
わからないママに気づかせてくれた虎豆の健やかな笑顔を見るたびにありがとうと伝えるようにしています。
まだまだ小さな体や声だけれど、虎豆が一生懸命成長する姿はママとして頑張る勇気を与えてくれる大事な存在です。
今日も一緒に寝られるように、できる限り頑張ろうと思うのでした。
白黒小豆
音楽、美容、ファッション、懸賞モニター、絵や文章書くことが好きなほんわか主婦クリエイター