中学受験心構え:親子間のコミュニケーションの重要性を受験対策の個別学習塾代表イムランさんに伺いました!

中学校はできればこのくらいのレベルの方が・・・この試験さえ勝てれば・・・なんて思考に陥っていませんか?今回は30年以上にわたる英語講師としての経験、そして受験対策の個別学習塾代表である、株式会社ブルーフレイム代表取締役、イムラン スィディキさんより、中学受験を迎えた親子間のコミュニケーションについてお伺いしました。

受験に「勝ち負け」はない

多くの学習塾や先生は受験を「勝ち負け」という言葉で表現します。
先生はよく「受験に勝つには〇〇が大事です」、「〇〇さんだったら勝てます」、「この戦いに勝ちましょう!」という言葉を使い、子どもとその保護者のモチベーションを高めようとします。
このアプローチは確かに、目標に向かう意識を養い、モチベーションを上げる効果があります。

しかし、その反面、多くの「受験に勝って、人生で負けた」子どもたちを産んでしまいます。これを英語で言うと、「win the battle, but lose the war」と表現します。battleは戦争における個別の戦闘を指し、warは戦争自体です。つまり、目先の勝利や成功は得たものの、長期的 ・全体的 な観点では失敗してしまうという意味です。これは、短期的な成功には至るものの、長期的な視野で見た場合に失敗する状況を意味します。

受験成功後の問題

受験前の保護者にはイメージしづらいかもしれませんが、志望校に合格した後、勉強をしなくなり成績が低下し、自己肯定感や自己効力感も低下する子どもが実は、かなりの数います。そのような場合、子どもは不満を抱き、学校や先生に対して否定的な態度を取るようになることもあります。学校によってはそういった子たちが集まってしまい、グループ化し、お互いに悪影響を与えてしまいます。ちょうど思春期に入り、自我が強くなる時期でもあるため、こういった現象が起こりやすくなります。

そういった状況を避けるためにはどうすればいいのか。実は親子間コミュニケーションが重要になります。

親子間コミュニケーションの重要性

この問題の根底には、親子間のコミュニケーションの欠如があります。受験前、中、後の全ての段階で、親子間のコミュニケーションが重要です。

受験前のコミュニケーション

受験前には子どもにある程度志望校を設定すると思いますが、その理由を子どもと共有することが大切です。もちろん上を目指すことは大事ですが、第1志望に入らなければ意味がない、他の学校は行く価値がないというような過度なプレッシャーは、お子さんによってはその後の人生においてマイナスになります。
そういう風に言われてしまった子が第2志望に行った場合、高い確率で「自分は本来もっと上の学校に行くべきだった」という態度を取ります。そして学校や先生の悪口に止まらず、周りの生徒に対しても、自分の方が頭が良いという態度を取ります。
しかし考えてみれば、第1志望には受からなかったので、その学校が適当だといえるでしょう。ですが、それを受け入れられず、何年にもわたりフラストレーションを抱え、周りとも調和が取れなくなります。受験後のことを考えても、過度なプレッシャーは禁物です。

受験中のコミュニケーション

受験中は子どもの学習計画や、学習の進捗を把握することがとても大切です。保護者は学習内容を完全に理解する必要はありませんが、漠然とした進捗を把握することはとても重要です。
子どもの自立心を育てるのも大事ですが、保護者が関わらないことで、子どもは「放っておかれている」と思うこともあります。それを避けるためには、保護者が学習の進捗を把握する必要があります。

受験後のコミュニケーション

当然ですが、受験結果への親の反応は、子どもの自己評価に大きな影響を与えます。結果に関わらず、子どもの努力を認め、結果に対してポジティブな態度を示すことが重要です。

そして晴れて中学生になっても親子間のコミュニケーションは怠らないでください。

親子間のコミュニケーションを怠れば、志望校に受かったとしても、その先に待っているのは失敗です。
しかし親子間のコミュニケーションが成立していれば、第一志望に受からなかったとしても、人生では確実に勝てます。

最後に

中学受験はひとつのステップに過ぎず、中学受験に成功しても、失敗学習や個人的な成長はそれ以降も続いていきます。
しかし、そこで親子間のコミュニケーションが途絶えてしまうと、「人生に負ける」現象が生じるリスクが高まります。
中学生活は新たなスタートであり、この時期に親子間のコミュニケーションが続くことが、子どもの健全な成長には不可欠です。

受験前、受験中、受験後にしっかりと親子間のコミュニケーションを取りましょう。
親子間のコミュニケーションが成立していれば、受験の結果に関わらず、そこにあるのは成功です。




[執筆者]

イムラン スィディキ Imran Siddiqui
株式会社ブルーフレイム代表取締役
コペル英会話教室校長

[プロフィール]
1976年生まれ。上智大学大学院時代、複数の英会話スクールで教え、超人気講師となる。
大学院卒業後、中央青山監査法人に就職するも、英語教育への熱意が冷めず、会社勤めしながら2003年「コペル英会話」を設立。
英会話スクールを経営するかたわら、英語本も23冊出版している。
また、ネットも積極的に活用。オンランの英語コミュニティは登録者数10万人超、YouTubeチャンネルの登録者数は17万人超とネットでの存在感を増す。
2021年には大田区の小中高校向けの個別学習塾を引き継ぎ、塾業界に参入。
中学2年生で英検2級合格など、地域トップレベルの成果を出している。

株式会社ブルーフレイムホームページ
株式会社ブルーフレイム

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