子どもが学校に行きたくないと言い出したら、どうケアする?公認心理師の視点から

子どもが学校に行きたくないと言い出したら、どうケアする?
そんなデリケートな悩みについて、今回は公認心理師であり、芸術療法士の資格も持つ心理カウンセラー、芙和せらさんにお伺いしました。




休み明け、子どもが学校へ行きたくないと言い出した!そんなときは…
夏休みやGWなどの長期の休み明けは「学校に行きたくない」というお子さんが増えます。こんな時に「さぼり癖がついた」という思い込みで対処すると、深刻な事態になることがありますので、子どもが「学校に行きたくない」という気持ちに耳を傾けてあげることが大切です。特に長期休みの後は生活リズムが変化するときなので、普段よりストレス度があがります。

お子さんが学校に行きたくないという場合に、次のような可能性があります。

(1)お家が大好きで家族と離れたくない

お家が大好きで家族と離れたくないために、学校に行きたくないというのは幼児、小学校低学年の頃に抱きやすいでしょう。しばらく離れていたお友達との楽しい時間を思い出させてあげたり、次の楽しいお家時間を目標に登校できるようになれば、自然と解消していきます。

(2)宿題をやっていないなど教師から叱られることを予想している

宿題ができていない、など教師から叱られることを予期しているような場合は、宿題などの課題をこなせる実行力が備わるまで保護者のサポートが必要です。低学年の場合は集中力が持続しない不足しているお子さんもがいるので、叱るのではなく一緒に宿題に取り組むなどしてみましょう。宿題の有無に関係なく、「先生が怖い」という場合には、お子さんと教師の相性が悪いこともあります。こういう時には(3)と同じようにゆっくりと話を聴いてあげることが大切です。

(3)いじめや人間関係に問題を抱えている

いじめや人間関係に問題を抱えているお子さんの場合は、じっくり話を聴いてあげることが大切です。お子さんは学校でのいじめを保護者には隠すことが多いです。親に心配をかけたくない、格好悪いなどの思いからです。はっきりと理由を言わない時には、「学校で辛いことがあるの?」など話しやすい言葉がけをしてあげましょう。決して焦らせずに時間をかけて話を聴くことが大切です。

(4)学業不振、進路選択に負担を感じている。

学業不振や進路選択の悩みは小学校高学年、中学生が抱きやすいものです。小中学生の場合、本当に本人が希望している進路なのか、親を喜ばせたいから選んだ進路なのか、本人にもよくわかっていないことが多いのです。お子さん本人の個性にあった進路、長い目でみて子どもが幸せになれる進路とはどういうものかをお子さんと保護者で一緒に考える機会をもちましょう。

(5)こころの病気を患っている

こころの病気は子どもでも発症することがあります。無気力、自責感、抑うつ、活動性の乏しさなど、普段と異なる様子があれば疑ってみましょう。身体疾患からでも同じような症状がでることがありますので、自己判断せず心身両面から医療機関に相談してみましょう。

(6)原因不明の体調不良がある

原因不明の体調不良にはいろいろな側面があります。たとえば成長痛のよう膝の痛み、頭痛、腹痛、倦怠感など、何らかの理由があるはずです。よくある体調不良と軽くみないで医療機関でしっかり調べてもらいましょう。まれですが深刻な病気が潜んでいることがあります。また、ストレスからくる心身症といわれる身体症状もあります。この場合は心療内科での対応が必要になります。

(7)概日(がいじつ)リズム障害の発症

概日リズム障害とは体内時計の周期を24時間周期に同調させることが難しいために起こる睡眠障害です。朝起きられなかったり、起きても眠くて動けなかったりします。そのため、1日のリズムと体のリズムのズレが生じ生活に支障をきたします。以前は「怠けている」「やる気がない」と言われ理解されないことがありましたが、かなり多くの方が悩まされています。睡眠時間が不規則になり、本人も辛い思いを抱えていますので、もしかして…と思ったら医療機関に相談しましょう。

いかがでしょう。学校に行きたくない、休みたいにも、理由はさまざまあることがお分かりいただけたでしょうか。保護者として学校に行かせることに固執せず、お子さんも苦しんでいる、何かの理由があると考えて接してあげてください。

現在、文部科学省では「不登校」の子どもを無理に通学させるのではなく、子どもたち各自にあった学校以外の場での学びを認めています。不登校特例校なども設置されています。家庭の中でだけ問題を抱えずに、自治体の教育、福祉の窓口にも相談してみましょう。
「学校に行きたくない」は決してわがままではありません。子どもたちのSOSとして受け止めていきましょう。



執筆者

芙和せら
一般社団法人 芙和せら心理研究所 所長
公認心理師、芸術療法士、子ども花育インストラクター

経歴
現在、生花による子どもたちの心育てに力を注いでいます。
優しさ、粘り強さ、コミュニケーション能力などは、12歳までに土台ができあがります。幸せの脳を育てて、どんな時代変化にも適応できる力を育ててあげるのが保護者様の役割です。

キッズベリー花育ラボHP
https://hanaiku-labo.com/

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