小児科医が伝える「休校中の子どもへのメンタルヘルス対策」

日本児童青年精神科・診療所連絡協議会が、新型コロナウイルスに対する子どもたちへのメンタルヘルス支援について、教職員、保護者、子ども向けにまとめています。

感染予防のことにばかり注意が向きがちですが、子どもも大人も、非常事態で生活が変わった人も多く、心の問題も考えていかなければいけません。
この支援パッケージには大切なポイントばかり書かれていますが、子ども向けのところをご紹介します。



① 子どもが、よい体調を維持できるように努めましょう。

規則正しい生活を心がけ、睡眠を十分にとり、食事も三食バランスよく食べ、可能であれば、外での運動をさせるなどをこころがけましょう。(散歩や公園で走る、縄跳びをする等で感染するリスクは低いと考えられます。)

② ウイルスやその感染防止について正しい知識を、子どもにわかりやすく伝えましょう。

何が起こっているか事実を伝え、今どうなっているか説明し、感染リスクを減らすためにどうすればいいか、子どもの理解力に応じて、わかるように教えましょう。

③ 不安をあおりがちなメディアの情報に、子どもが接する機会を減らしましょう。

④ 家族や親せき、友人などの親しい人と話す時間をもち孤立しないようにしましょう。

コンピューターゲームや動画の視聴の時間を増やさず、家族と話をする、カードゲーム、ボードゲーム、折り紙や工作などをして過ごす時間を作りましょう。できるだけ、親や家族がそばにいるようにしましょう。入院などで離れる場合には電話などで定期的に連絡できるような方法を確認してください。直接会えない友人とはメールや電話で連絡を取れるようにしてあげましょう。



⑤ 子どもたちのストレスに伴う心理的な反応に気をつけましょう。

このような状況では子どもたちに、以下のようなストレスに伴う心理的な反応が出る場合があります。
甘えたくなる・心配になる・元気が出ない・悲しくなる・おねしょをしてしまう
いらいらする・怒りっぽくなる・喧嘩が増える
子どもは大人の愛情と目を向けられることを必要とします。今まで以上に時間をかけ、接してください。子どもの訴えを聞いて、やさしく話しかけ、安心させてください。可能なら、安全な環境で遊びやリラックスできる機会を作ってください。多くの場合、このような心理的な反応は、時間とともに改善しますが、睡眠や食欲の問題が長期間続く、行動上の問題が顕著であるなどのような場合には、保健室の先生やスクールカウンセラーなどに相談するようにしてください。

⑥ 障害をもつ子どもは、障害に特有の配慮が必要になります。専門機関にかかっている方は、こまめに相談するようにしましょう。

特に、発達障害などの特性をお持ちのお子様は、急な状況の変化に適切に対応できない場合が多くあります。本人の理解力に応じて説明は時間をかけてわかりやすく行い、できれば、表やイラストなどの視覚的な説明方法も取り入れましょう。また、できるだけ安心できるように、先の見通しがもてるようにしてあげましょう。また、感覚過敏をもつ方も多いので、自分のペースで静かに過ごせる場所や時間を作りましょう。このような取組は、発達障害を持たないお子さまにも有効です。

子どもの心の診療を行っていて、気がかりなことは沢山あるのですが、そのうちのひとつが、不登校の子が「学校が休みになって気が楽そうだから」と親が考えて病院への足が遠のいていること。
非常事態ではありますが、そのうち終わりが来て、また学校生活が始まる事くらい、子どもはわかっています。
「楽しそうに」ゲームして過ごしていたとしても、それは考えたくないことから逃れようとしているだけかもしれません。
そうした子は、学校があっているときと同じように学校が始まることに悩まされています。
子どもによっては、感染の不安が引き金となり、あらゆる不安に敏感になっているかもしれません。
そもそも問題を抱えている子こそ、元の生活が戻って来たときのリバウンドが心配です。
感染のリスクから通院自体が不安な場合は、主治医の先生にまずは相談し、親御さんの自己判断での中断は控えた方がいいでしょう。

子どもたちが元気に新年度を迎えられますように・・・。

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