「負けると泣く、途中で投げだす子どもにかけたい言葉」について、一般社団法人芙和せら心理研究所 所長、芙和せらさんにお伺いしました。
保護者を悩ませる子どもの行為について
負けそうになるとゲームを放棄したり、状況が気に入らないと大泣きしたり、お子さんの根気のなさやわがままぶりに頭を悩ませる保護者は少なくないようです。
親子は鏡合わせです。子どもの問題行動と思われるものも、よくよく振り返ってみれば保護者の方にも問題の種があった、なんてことは珍しくありません。
今日は心理学を使って、根気のない子どもたちにどう向き合っていけばよいのかをお伝えいたします。
負けそうになるとゲームを放棄する。
お友達と一緒に遊んでいてこんなことがしょっちゅうあると、お友達からすると「ずるい」「つまんない」となって、誰も遊んでくれなくなりそうで心配です。
勝っているときは気分がいいのは、子どもも大人も同じです。大人は今は負けても次に勝てばいいと考えられますが、お子さんの場合は目の前の状況がすべてになります。
特に負けそうになるとゲームを放棄してしまうお子さんは、勝ち負けに対する強いこだわりがあるといえます。
【対策】
例えば負けてしまった時に「負けちゃったね~。」など、大人にとっては軽い言葉でもお子さんには大きなショックです。
勝ち負けが大事なのではなく、ゲームを楽しむこと、プロセスに言及するようにしましょう。
「惜しかったね。ママも悔しい。でも、最後まで頑張ったのはすごい!」
「いい勝負だったよ。ああいう工夫ができるってさすが!」
気に入らない状況で大泣きして周りを困らせる
大泣きすると得なことがあると学習したお子さんにみられる行動パターンです。
子どもはどうやったら親の関心をひけるかを常に研究しています。よい子にしていたら褒められたら、またよい子にしようとします。
親に気づいてもらえないときに大泣きしたら、親が大慌てで構ってくれたとなると、親の興味を引きたくなったら大泣きしようとなるわけです。
また、兄弟でケンカになったときに、泣き出した子をなだめたくて親が別の子を叱ったり、我慢させることがあります。これも泣いたほうがお得の学習になります。
【対策】
こんな場合は大泣きしたときには静観するというのが、正しい対処法です。
大泣きしても得なことがないとわかったらだんだんと減っていきます。
とはいえ、外出先で大泣きされたら、保護者の方は周りに迷惑をかけたくないという心境から妥協してしまいがちになりますが、ここはぐっとこらえましょう。
気に入らない状況でも大泣きしなかったら、ぎゅっとハグしてぬくもりを伝えながら「大好きだよ」と愛情を伝え、「いい子だね」と褒めてあげましょう。
お友達にオモチャや順番を譲らない
幼児期は自分本位に生きているものです。
オモチャを独占したり、ブランコをいつまでも譲らなかったりするのは、むしろ当たり前のことです。
お友達に譲る、というのは、世界に他者が存在するということが分かり始めるからです。
相手の気持ちを想像できるようになれば、自分と同じようにオモチャや順番を譲ってほしいお友達がいることに気づけるようになります。
【対策】
お子さんがお友達からオモチャや順番を譲られたときに、親子で喜びをわかちあい、お友達にありがとうと感謝を伝えましょう。
次にお子さんが譲る番になったときには「さっきとっても嬉しかったね、今度はお友達を喜ばせてあげようね」と促すとよいでしょう。
また、お子さんが自らお友達に譲った場合は、「すごくよくできたね」と褒めてあげましょう。
自分の行動が間違っていなかったと自信を深めます。
子どもは親の鏡
いかがでしたか?お子さんの根気や粘り強さ、思いやりを育てることは簡単ではありません。
最初に触れたように、子どもは親の鏡です。
お子さんの問題行動は、親の対応に何らかの問題があった可能性があります。一度冷静に振り返ってみてください。
執筆者
芙和せら
一般社団法人 芙和せら心理研究所 所長
公認心理師、芸術療法士、子ども花育インストラクター
経歴
現在、生花による子どもたちの心育てに力を注いでいます。
優しさ、粘り強さ、コミュニケーション能力などは、12歳までに土台ができあがります。幸せの脳を育てて、どんな時代変化にも適応できる力を育ててあげるのが保護者様の役割です。
キッズベリー花育ラボHP
https://hanaiku-labo.com/