大人が思う「泣いていないで、そう言えばいいじゃない。」は5歳息子にとって簡単ではない。と気づいた話。

私の息子は現在5歳、年長さんです。
好きな恐竜や新幹線の名前を覚えてスラスラ言えたり、
今日のおもしろかった出来事を教えてくれたり、
怒ったときには何が原因なのかを泣きながら叫んだりできるようになりました。
保育園へ行きたくない朝は、急に「あ、頭が痛い...」なんて演技力までついてきています。

自分の気持ちや状況を自分でお話しできるようになったんだなぁ、お兄ちゃんになったなぁ。
そう思って、ついつい息子は大人と同じように話せると勘違いしていたことに気づくきっかけがありました。
「泣いていないで、そう言えばいいじゃない。」
大人には簡単なこと。でも「まだ」5歳の息子には心で思ったことを同時に言葉で説明するのは難しかったエピソードです。



叱られて黙ってしまう理由

お迎えに行ったら机にうつ伏せになって泣いていた

在宅勤務の昼休み、保育園へ早く迎えに行く約束を息子としていたので給食が終わった頃に迎えに行くと、いつもは笑顔で飛び出してくる息子が見当たりません。
教室の中を覗いてみると、息子はひとり、朝着て登園した体操服を着たまま机にうつ伏せになっていました。
まわりのお友だちは、みんなもう着替えています。
あ。着替えを持たせるの忘れてた!着替えが無いんだ!
状況を把握した私は、大きな声で息子に声を掛けました。「お待たせ~。帰ろう!ママさぁ、きょうお着替えをカバンに入れるの忘れたね~、ごめんね!もうそのまま帰ろう!」
息子は私の声に気づくと飛び出してきて、こらえていた涙がこぼれてしまいました。

先生の説明によると、朝の体操の時間が終わり、いつまでも着替えない息子に「早く着替えなさい!」と女の子たちが口々にしかってくれたそうです。
...わかる。しっかりものの女の子たちが言ってくれる状況。
それでもウロウロしている息子に、先生も厳しめの声で注意したとのことで、息子はずっと上を向いて我慢していたそうですが、着替えがカバンにないことに気付いた先生が「そのまま体操服でいたらいいよ」と声をかけると、息子はこらえきれずにうつ伏せになってしまったところで私が登場したようです。
そっかそっか、悲しかったね。ごめんねトラ!
私はそう言いましたが、先生は違いました。
「ママが入れ忘れたんじゃなくて、トラくんも自分で持ち物を用意しなきゃいけないんじゃない?」
そうです!その通りです先生!!ついつい私がやった方が早くて、息子の自立を妨げていました!!
・・・反省しきりです。

その日の夜、落ち着いてお話しできるときに、これからは持ち物チェックをやろうと息子と約束しつつなぜ「着替えがない」と言わなかったのか聞いてみました。
息子の性格を考えると、持ち物を忘れたくらいで泣くとは思えなかったのです。
今までも持たせるのを忘れたことは時々ありましたが、息子は「忘れてもかしてくれるんだよ。」「まいっか。」と気にしないタイプ。
ママがカバンに入れ忘れちゃったんだよ。とか、忘れちゃったよ~、体操服でいっか。とか言えばよかったじゃない?
すると息子はまた少し悲しい顔になって教えてくれました。
「だってさ、女の子たちが何を言っているのかわからなかったんだよ。」
「お着替えないよ、って言ったらママがかわいそうと思ったの。」
わぁーっと言われて心(脳)がシャッターを下ろしたこと、私にも経験があります。

私にとってはウッカリ忘れ物。「ママが入れ忘れた~」と言ったら済むようなことです。でも息子にとっては、言ったらママがかわいそう。だからただ黙って耐えていたようです。
先生の言葉で反省し、翌朝からは息子に持ち物を指差し確認させています。




先生に注意されて泣いた
別の日、お迎えに行くと先生から「今日はちょっと、叱りました。」と報告がありました。
息子を見ると、微妙な顔をしています。
その日は急な雷雨があり、ちょうどおやつの時間に大雨が降り始め、稲妻が光ったそうです。
すると子供たちは大騒ぎ。座っていられる子は少なく、窓の方へ走っていくので先生に注意されたそうなのですが、その中でも息子は何度言っても席を立ち、窓のところへ見に行ったので、とうとう先生に叱られたとのことでした。
そりゃ叱られるね。先生、すみませんでした。叱っていただいてありがとうございます。
頭を下げて帰ったあと、お風呂に入りながらの時間はゆっくり息子の言い分を聞くチャンスです。
「だってさ、ゴロゴロさんが鳴ったら女の子たちがこわいこわいって言うから。だからボク、雷さんに怒りに行ったの。」
そっか、女の子たちのために言ってあげたんだね。かっこよかったじゃん。でもさ、黙ってウロウロしていたら先生だって何回も座りなさいって言うし、それでも知らんぷりしていたらそりゃ叱られるよ。雷さんを怒ってるんだよ、って先生に伝えたらよかったじゃん。それでもやっぱり座っていなきゃダメなんだけどさ(笑)と、まずは息子の言い分を受け止めようと思いながらもつい吹き出してしまいました。

行動に理由はちゃんとあっても、それをとっさに言語化するのは難しいようです。

そのことを夫に話すと、そうなんだ~と言いつつも、
でも先生に怒られたから後から理由を考えて言ってるだけかもよ。と。
え?そういう考え方もあるの?
とっさに言い訳ができるようになったら、成長の証なのでしょうか・・・複雑!

アニメはよくても大人が見ているテレビはダメ?!無意識に流しているテレビの映像に要注意!


「ボク、朝は元気がないんだよ」・・・その理由はまさかのニュース
夜寝る前に、息子が「ボク、朝は元気がないんだよ。」と秘密を打ち明けるように話してくれました。
はいはい、保育園に行きたくないのね。
次に出る言葉をそんな風に予想していた私は、息子に「パパとママはニュースを見るでしょ。だから元気がないの。」と言われ驚きました。
朝はたいていバタバタで、確かに息子とゆっくり向き合えてはいませんが、目を離すと息子は遊びだしてしまうのでむしろ付きっ切り。
元気がなくなる理由が思いつきませんでした。

「ニュースはコロナとか、死んじゃったとか、事故とか、クマが出たって言うでしょ。だからボクはニュースが好きじゃないの。元気がなくなっちゃうから。」
・・・そう・・・だね。楽しいニュース、ほとんどないよね。
息子は私たちが習慣で見ているニュースの映像を、悲しい気持ちで見ていたのです。
トラ、教えてくれてありがとうね。明日の朝は音楽をかけようか。でもさ、嫌だったなら言っていいんだよ。チャンネル変えてって言えばいいよ。
そう言っても、息子は「うん・・・」と言うだけでした。




実家で急に元気がなくなった理由
いつもは実家に行くと元気に狭い家中を走りまわって大騒ぎの息子。
でも少し前に実家に行ったときは、元気に挨拶してしばらくすると急に静かになりました。
熱はないしお通じもよかったのになぜ?
どうしたの?何かあった?と何度聞いても「なんにもないよ。」と、まったく笑顔がありません。
どう声をかけても気のない返事で、私は息子が心配な気持ちと、せっかく孫に会えて嬉しい両親に対していつものように笑顔のないことに申し訳ない気持ちとで混乱してしまいました。

いつもならゆっくりお話をきけるお風呂でも、寝る前の時間にも、息子は実家で元気がなくなった理由を話してくれませんでした。
その後、実家に「ボク行かない」と言われて、悲しみといら立ちも感じてしまいました。
それから数日後、息子はとうとう理由を話してくれました。
「だってさ、じいじとばあばのおうち、テレビがついてたでしょう?」
「女の人が、刀でバサーって切られて血が出て死んじゃったのがボクこわかったの。」
え!!そんな恐ろしい映像あった!?というか、父はテレビを見ていなかったはず。
必死に記憶を呼び起こし、思い出しました。
つけっぱなしのテレビ、時代劇・・・確かに悪代官みたいなお武家様が女性を刀で・・・!!

こわかったね。あんなテレビつけていてごめんね。あれは確かにママでもこわいよ。
話してくれてありがとうね。じいじとばあばに電話して、もうあのテレビはやめてねって言おうね。
両親に事情を話すと、確かにそうだね、全然気づいていなかったと言ってテレビは消すよ、と息子に約束しました。
「このテレビ、怖いからやめて」って、言っていいんだよ。
そう言いかけて、でも違うよね、思っても言語化するのは難しかったよね。と、さすがにこの時には「言えばいいじゃん」が息子にとって簡単ではないのだとはっきり理解しました。

例えば、息子には残酷すぎるから見せたくなかった鬼退治の大ヒットアニメ。
それに、中国の戦国時代を描いた大ヒットアニメも、わりと血が出ています。
どちらも息子は夫の隣にちょこんと座り、夢中になってい観ているし、カッコイイお気に入りのヒーローをマネして刀で戦いごっこもします。
だからといって息子がテレビの世界と現実は別だと頭で処理できるほど、まだ脳も心も発達しきっていないのだと思い知らされました。
実写はより現実が増すのだと気づけず、ショックを受けている息子にも気づけなかった自分が情けなかったです。
今では、実家に行くと「テレビつけないでよ~!」と元気に言う息子を見てホッとしています。

いくつかの出来事があり、もう5歳ではなくまだ5歳、私は息子を取り巻く環境に対して気を抜いていたなと気づきました。
それと同時に息子には語彙力、説明力をしっかり身につけさせたいなと思うようになりました。
しりとりやカルタなどのゲーム、本を読む、何より目を見てお話をする時間を持つこと。方法はたくさんあります。
危険なことや息子にとって悲しいことをいつも完璧に避けることはできません。
特に悲しい時、辛い時、心に受けたことを話す力がもっとついたら、息子の涙はもう少し減らせるかもしれないな、と思いました。

トラのママ
大相撲大好き年長さん息子の子育て真っ最中ワーママ

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