非認知能力を伸ばすには幼少期に色彩感覚を身につけることも重要!?

子どもの非認知能力を上げるためには。どんな方法があるか。いつのタイミングで行えばいいのか?

小さいうちに伸ばしておかないと手遅れになる? 色彩感覚について

子どもの能力を最大限伸ばしてあげたい、というのは親ならだれでも思うことですよね。
「定期テストで良い点を取る」 「大学受験を成功させる」といった学習的なものは、その年齢になってからでも十分間に合います。

ですが、例えば

・子どもの運動能力が著しく発達する時期といわれるゴールデンエイジ
・子どもが3歳までに英語を聞かせ、英語耳に
・子どもに絶対音感を身に付けさせるための早期トレーニング

などなど、子どもが小さいうちに始めておかないと、その年齢を過ぎてから開始したのでは、取り戻すのが難しいものもあります。
そうすると、後から知って子どもがその年齢を過ぎてしまっていた場合、「遅かった・・・」と、ちょっと後悔してしまう可能性も。




早期教育は非認知能力を伸ばすことに注目して!

ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授も著書「幼児教育の経済学」において就学前教育の重要性において述べています。
但し、ここでいう教育は、いわゆる勉強ではありません。

幼稚園に入る前に九九が言えるとか、名前が漢字で書けるとかではなく、「非認知能力」の重要性についてフォーカスされています。

忍耐力や社会性、自尊心、感情のコントロールなど、現代を生きる上で重要とされる非認知能力。

これは、是非伸ばしてあげたいですよね!

非認知能力を伸ばすには?

それらを伸ばすための幼児の活動内容として、お絵かきや体を使った遊び、触れ合いや対話などのコミュニケーションの重要性が注目されています。

なかでもお絵かきや塗り絵、工作などのいわゆる造形表現的な活動は、根気や自制心、好奇心、意欲、協調性、発想力などを高めるものとして、幼児教育機関でも積極的に取り入れられています。

造形表現に取り組むことを考えた時に、早期に伸ばすべき能力として私が気になっているのが「色彩感覚」とよばれるもの。

実は、色彩感覚は乳幼児期に伸ばしておかないと、後天的に身に付けさせるのが困難だという報告があるのです(産総研,2004,「乳幼児期の視覚体験がその後の色彩感覚に決定的な影響を与える」)。

赤ちゃんはかなり早くから色や形を見分ける能力があり、ヒトの視覚世界が出生時点からかなり豊かなものであること、そして新生児期から乳幼児期にかけて成長していくことが分かっています。




乳幼児期に色彩感覚が身につかなかったら

この成長期に、きちんと色を見せておかないとどうなるのでしょうか。

生まれて間もないサルを1年間、単色光の照明(B~Cのサイクル)だけで飼育し、色を認識できないようにして育てた結果。

これらのサルの色彩感覚に色の類似性判断と恒常性に障害があることが明らかになったそうです。

しかも、色彩感覚の障害は、その後の視覚経験あるいは訓練によっても矯正されることがなかったとのこと。

つまり、乳幼児期に色彩感覚を育てておかないと、大きくなってからでは取り返すことがとても難しいのです!

子どもにどのような色を見せるか、どのような色に囲まれて育てるべきかはいろいろ考えてしまいますよね。

昔は、男の子はブルー系、女の子はピンク系という風に、性別で差をつけることも多かったのではないでしょうか。

ジェンダーフリーといった観点からも、固定観念で子どもの色彩感覚の発育を妨げることのないように、小さいころからたくさんの色を見せてあげられたらいいなと感じます。

色彩感覚を育てるには

そこで、思いついたのが絵画を見せること。
調べてみると、岡山県にある大原美術館において、未就学児を対象に幼児のための絵画鑑賞プログラムが実施されており、岡山大学教育学研究科によって報告されています(『美術教育学』第 30号,2009年, p.151-162)。

大原美術館には、セザンヌやドガ、マネ、絵画に明るくない私でも知っているモネの睡蓮など、様々な絵画が展示されています。
この報告によると、いろいろな絵を見た結果、ほとんどの幼児が「自分の好きな絵」を選ぶことができるとのこと。

これは、私にとっては少し意外でした。

なんとなく、今まで子どもはデフォルメされたイラストを好み、繊細でリアルなタッチの絵画を好むイメージがなかったからです。

美術館に飾られているような絵画でも、きちんと興味を持ってくれるのですね。

でも、確かに思い返してみると。
車が好きな長男は、コミックタッチなおもちゃよりはトミカのように実際の車をそのまま小さくしたようなおもちゃが好きでしたし、娘も3頭身ほどのキュートなお人形より、割と人間に近いバービー人形のようなものを選んでいました。

子どもはデフォルメされた可愛い形状を好むというのも、男の子→ブルー系、女の子→ピンク系同様、大人の方で勝手に思っているイメージなのかもしれません。

子どもに見せる絵やイラスト・絵本など、かわいいものもいいですが、リアルタッチのものを含めると、いつもとは違った反応が見られるかもしれませんね。




子どもが選ぶ絵のポイント

この報告によると、子どもが選ぶ絵のポイントは
●動物、植物、人間、ロボットなど子どもが直接的もしくは間接的に経験したり親しんだりした対象が描かれているもの
●色調は明度・彩度が高く色鮮やかなもの
とのこと。

確かに以前美術館に行ったとき、子どもたちは以外にも楽しんでいたのですよね。

コロナもあるし、コストや時間的にも何度も美術館に行くというのは難しいですが、子ども部屋に絵やポスターを飾ったり、画集を置いたりして、日常的に目に触れさせながら、たまには子どもと絵について話す環境は、用意してあげたいなと思いました。

うちの子はもう結構大きく、色彩感覚を育てるという点では少し遅いかもしれないけど、芸術鑑賞活動を取り入れている学校も多いですし、感性を育むという点ではアートに触れるというのは大切なことではないでしょうか?

学生の頃、美術のテストで作者の名前や技法、~派や~主義など、絵に関する知識を四苦八苦しながら覚えた記憶がありますが、そういうのではなくて、純粋に絵を楽しめるのっていいですよね!


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