【10】自分の守り方が分からない私の心に沁みたことばと温かい手。きょうだい児の私はヤングケアラー|ゆーとぴあの育児漫画

前回の話
保護所では入所者同士で会話をするのがタブーだったのですが、ほとんどの子が虐待や性被害にあった子だと知り、樹里ちゃんは自分の家庭はまだマシな方なのだと気づかされました。家庭崩壊しているのはみんな一緒で、自分だけじゃないと思うと嬉しい気持ちになったのでした。

姉育てに疲れて一時保護所に入った話【10】



樹里ちゃんが保護所に入って2ケ月が過ぎました。
「おねーちゃん毛深いね!」
などと、センシティブな話題でも配慮なく話しかけてくる小学生低学年の子に樹里ちゃんはいつもイラついていました。

さらに、自閉症や発達障害の子たちが暴れているのを見るたびに
家でいつも暴れていた海ちゃんのことを思い出してしまっていました。

海ちゃんと離れて落ち着いて生活することを希望していたはずでしたが、
平常心を保てていない毎日です。

ある日、どうしても心が抑えられなくなってしまった樹里ちゃんは、いつもウザいと思っていた男の子に手をあげそうになってしまいました。

「るっせーんだよ!静かにしろ!」
「お前マジでいい加減にしろよ
私は落ち着きたくてここに来てるのにこのヤロー!」

その時・・・

「樹里!どうしたの?」
女の子が部屋に入ってきて止めてくれました。

樹里ちゃんは震えながらその女の子にしがみつくと、自分の気持ちを吐き出しました。
「私、暴れてる子が苦手で
投げた物が当たったりすると平常心保てなくて
でも他の子には絶対に手を出しちゃダメだって分かってるんだけど
でもどうやってじぶんをまもればいいかわからなくなって・・・!!」

すると、その女の子は樹里ちゃんの頭にそっと優しく手を置くと
「大丈夫だよ、私たちが近くにいてあげるよ」と言ってくれたのです。

「それにここは家とは違って守ってくれる人がいるから樹里ちゃんは被害に遭わないよ
叫んでる声は聞こえるけど」

「がんばろう」

自分に寄り添って、優しい言葉をかけてくれた子に
「うん」
とこたえました。

続きます。

ゆーとぴあ
事実を元にした子育て漫画を描いてます。
長男、仙尾部奇形腫という珍しい病気。
次男、発達障害で特別支援学級に在籍しております。
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寄り添ってくれる優しい子の存在が心強いですね。「ここには守ってくれる人がいる」のことばが切ないです。
[ママ広場編集部]

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