前回の話
児童相談所の職員さんとの面談では、お母さんの鬱病はいつか治るとか子供を本気で愛してない親なんていないから、早く家に帰ったほうが幸せだと話す職員さんの言葉が樹里ちゃんにとってはまるで的外れで、早く出て行って欲しいのだと悟ったのでした。
姉育てに疲れて一時保護所に入った話【12】
当時の一時保護所は最長で3ヶ月の入所が認められていて
その間に入所者は、里親の元へ行くか、児童養護施設に行くか、または家に帰るかを決めなければなりませんでした。
樹里ちゃんの場合は家庭に危険がないため、家に帰る選択しかありませんでした。
家に帰りたくなかった樹里ちゃんは帰宅をずっと拒み続けているうちに満期の3ヶ月になりました。
樹里ちゃんは、両親の事が大好きな海ちゃんは、樹里ちゃんの事を邪魔だと感じていると思っていたし、両親も樹里ちゃんは家にいない方が良い、そうして欲しいと思われたから保護所に入ったのだと感じていました。
一時保護所を出て帰宅してからしばらくして、樹里ちゃんはお母さんからこんなことを言われました。
「あんたさー、保護所に入ってから何もやらなくなったよねー」
恨めしそうな顔でそう言うお母さんの顔はやつれていて、スマホを片手にもう片方の手にはタバコ。
お酒も飲んでいるようでした。
保護所から帰ったら、お母さんとの関係は良くなるどころか更に悪化していきました。
「そりゃそうか。保護所は何もしなくても飯出てくるし、
態度も悪くなったし、保護所なんか入れなければ良かった」とため息交じりに言うお母さんにイライラする樹里ちゃん。
お母さんの樹里ちゃんへの文句が全て保護所のせいにしていることに
「元々お母さんが入れって言ったんですよ。だから私入ったんですよ。」
と、呆れてしまった樹里ちゃんは、笑顔を作って言ったのでした。
「そうだっけ?」
と、3ヶ月も家族と離れて過ごしてきた樹里ちゃんに言うお母さんに
「もういい!」と、樹里ちゃんは会話を諦めました。
もう誰も信じない
誰も助けてくれない
愛なんか求めない
そう樹里ちゃんは心の中で叫びました。
もう泣かない。
将来この家を捨てて自由に生きてやる
樹里ちゃんは決心したのでした。
最終話に続きます。
最終話
ゆーとぴあ
事実を元にした子育て漫画を描いてます。
長男、仙尾部奇形腫という珍しい病気。
次男、発達障害で特別支援学級に在籍しております。
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相談員さんが「いつか治るよ」と言ったお母さんの鬱病が良くなっていないどころかどんどんやつれていってしまっているのが心配です。
[ママ広場編集部]