前回のお話
本屋やネットで『子どもはママを選んで生まれてきた』という内容のたくさんの絵本を見てもやもやした気持ちを抱えていたあやこさん。夕食時、箸が上手く使えず手づかみで食べてしまうゆみかちゃんのお世話をしながら、食べ終わってスマホを見ているご主人に「私も神様に選ばれたとか言われるけど、嬉しいと思えない」と話します。そして「パパはどう思う?」と聞くと、ようやくご主人が顔をあげて・・・。
障害児のママは神様に選ばれたと言われて[25]
「ハァ~~~」
大きな溜息をつくご主人。
そして
「何それ。ゆみかが可愛くないってこと?」
あやこさんの問いかけには答えず、逆にそう聞いてきたご主人。
「えっ?」
「は?全然そんなこと言ってない」
予想外の言葉に驚くあやこさん。
「ってかさー、ママはゆみかに対する愛情が足りてないんじゃない?」
「!?」
「ってゆーか、そもそもゆみかの前でそんなこと話すなよ」
あやこさんを責めるようなご主人の態度に言葉が出ないあやこさん。
「ゆみかはゆみかだろ?他人と比べるなよ」
「そうだけどっ・・・」
自分だけが悪いように言われ納得がいかないあやこさんは、
「辛い時に吐き出したくても、ゆみかが私から離れる時間なんてないじゃない」
「気まずい思いするのは母親ばっかりなんだよ!?」
そう言いながら涙が溢れてきます。
「パパだってゆみかの親なんだからちょっとくらい面倒見てくれたって・・・」
「あーはいはい。俺はちゃんとやってますけどね」
あやこさんの訴えを適当に聞き流し、席を立つご主人。
そのとき、ゆみかちゃんが泣き出して・・・
「あーあ、ゆみか泣いちゃった。だから言ってるのに」
そう言ってその場を離れたご主人は、
ママ、ママとゆみかちゃんに泣かれているあやこさんに
「ほら、ママ選ばれてるぞ」
と言って・・・。
続きます
植木千尋
ブロブフィッシュ似の主婦です
知的障害を伴う自閉症児を子育て&溺愛中