小児科医がママになって考えた「休校中の子どもの過ごし方」

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、学校が突然臨時休校になりました。
外来でお会いする小学生とその親御さんから「学校から、急用がなければ一歩も外に出たらいけないって言われたので、真面目に家にこもっています」という話を、ちょくちょく聞きます。
そして、予想していたとおりの事態。
子どもは家にこもる事で、退屈。なんだか気分も晴れないし、集中力が落ちて宿題が続かない。目の前にあるゲームをしたいのに親からやるなって言われる。昼寝してしまい、夜なかなか眠れなくなる。家にこもっていてお腹が空かないから食欲も落ちる。だらだら食べていると注意される。
親は親で、子どもの生活リズムが崩れることが心配で、勉強しないのか、いつまでゲームをしているのか、ということに注意を向け続け、いつもは作らなくてもいい昼食の準備までしないといけなくなる。一日中台所にいるんですけど!!みたいな状態に。
親も子もフラストレーションがたまり、イライラしっぱなしで、親子喧嘩、兄弟喧嘩が多発。
そんな悪循環に陥っているご家庭が珍しくありません。



新型コロナウイルスで、気をつけなければいけないのは、空気感染と接触感染。
ということは、家から一歩も出ない、なんてお達しは、確かにわかりやすいけれど、言い過ぎなのでは?
むしろそんな日が続くなんて、精神衛生上よくありません。
毎日学校生活や習い事でしっかり身体を動かしている子が突然、家にこもった生活になったら・・・筋力も低下するし、日に当たらないことでメラトニンが産生されず、睡眠リズムが崩れる可能性も出てきます。
ずっとゲームや勉強など室内で過ごすことばかりをやっていると、姿勢の問題も出てくるでしょう。
更に、見通しの立たない事態が苦手な発達特性のある子や低学年のお子さんにとって、突然その学年が終了して、先を思い描かずに急遽新年度が始まる事って、どうでしょう。
いつもの新学期以上のストレスが待っているのではないでしょうか。
ましてや、新学期が始まった時、決してそれは、安全を意味するものではなく、またいつ感染拡大が起こるかわからない不安の中での開始だとすると、それまでの引きこもり生活から、突然の学校生活って、あまりにも差が大きすぎます。
ただでさえ体調を崩すことが多い長期休暇明け。
今回は心と身体のバランスが崩れる子どもが、続出するのではないかと心配しています。

何に気をつけないといけなくて、何が安全な行動なのか、ということを子どもでも理解できるような十分な説明の下での休校であればよかったなと、今更ながら思います。
突然の事だったからその辺りの全体への説明って難しかったと思いますが、各ご家庭で、子ども達が理解できる説明がなされ、子どもたちが過剰な不安を抱えない新学期を迎えられることを願います。



そして、情緒の安定、体力低下と生活リズムの崩れ防止に、適度な運動を是非行って欲しい。

親子で一緒に散歩やジョギングするくらいの外出は問題ないわけだから、予定がなくなった休日に、いつもと違う過ごし方をする機会にしてみてはいかがでしょうか?
平日は、夏休みみたいに公園に集まって・・・は難しいかもしれないけれど、自宅で朝のラジオ体操を行いカードにスタンプを押していくのとか、いいかもしれません。
縄跳び強化週間とかにするのもいいですね。
ブレードボードや一輪車なんかを、この期間で特訓するのもいいかも。
休み明けに友達に自慢できそうで、楽しみが増えますよね。

有酸素運動が子どもの情緒や認知機能に与える影響については、多くの有効性を示す論文が出ています。
20分間の有酸素運動をしっかりした後では、集中力が高まり、学習効果が上がる、という報告もあるので、私はいつも多動のお子さんに、運動をするよう勧めています。

そんなことを書きながら、まずは自分が実践、と思って、朝6時半のラジオ体操に娘と取り組み出したところです。
寝起きが抜群に悪い娘ですが、面白がって体操してくれています。
気持ちの切り替えにもよかったかな、なんて思っているところです。

外出自粛時期だからこそ、運動のススメ。いかがでしょうか?

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