子どもの勉強のやる気にさせるにはどうしたらいい??選択理論心理士、つのだデンタルケアクリニック院長角田先生にうかがいました!

成績が下がった!塾に通わせないと?!でも、子どもがちっともやる気になってくれなくて・・・そんな質問に、選択理論心理士でもあるつのだデンタルケアクリニック院長、角田智之先生にお伺いしました。

勉強しない・やる気がない子どもには塾に通わせればいい?

お子さんを塾に通わせることはできるでしょう。
でも、やる気や成績はあがるでしょうか?
人は強制を最も嫌がります。
ご自分のことで考えてみると、したくないことを無理やりさせられ続けたらどうでしょう?
誰でも、「内発的動機付け」がない限り動きません。
ただし、例外があります。
それは無理やり強制したり、褒美で釣るなどです。
やれ!と強く言われれば、抵抗することで起きる苦痛感情を回避するために行動したり、褒美のために従うかもしれません。
しかしこれも一時的であり、強制が続くと人間関係は壊れていきます。
なぜならば、先ほどの「内発的動機付け」がないからです。

塾に通ってもらうのは誰のためか?を考える

では、「内発的動機付け」を促すにはどうしたらよいでしょうか?
それは、「関わり」と「良質な情報提供」です。
他人と過去は変えられません。
お子さんも同じです。親だからといって、変えることはできません。

では、お子さんがやる気になり成績が上がったら親として何が得られるでしょうか?

・成績が上がり、よい学校へ入学できる。
・よい学校へは入れればさらによい学校へ進学できる(大学など)
・そうすれば、よい仕事に就ける。

その先にあるものは?

親として望んでいることは、お子さんの幸せではないでしょうか?

ただ、お子さんを幸せにすることは、親にはできません。
幸せは外から与えられるものではなく、自分で感じることだからです。
お子さんの幸せと親の考えるお子さんの幸せは必ずしも一致しません。
親ができることは、お子さんが幸せになることのサポートです。

親として、してしまいがちな思考があります。
「親は正しい。子どもよりも長く人生経験を積んでいるので、親の言うことを聞くべきだ。言うことを聞いていれば、あとで必ず感謝することになる。
経済的支援もしている親の言うことを聞くのは一般的な常識だ。」という思考です。

誰でも、自分の内に正しさを持っています。
ただ、その正しさは自分にとっての正しさであり、他の人の正しさではありません。
正しさを押し付けてしまうことは相手を変えることになり、強制になります。
正しさを押し付けるのではなく、対象の人とどんな関係になりたいのか?をはじめに頭においておけば、行動も変わります。

まずはお子さんの気持ちを聞くことから

選択理論心理学(※)では、人間関係破壊の習慣が7つあるといっています。
(1)批判する
(2)責める
(3)ガミガミ言う
(4)文句を言う
(5)脅す
(6)罰する
(7)褒美で釣る

身に覚えがありませんか?

この7つの習慣を使えば、人間関係は壊れてしまいます。
では、なぜ使うのか?
それは、効果があるからです。
しかし、短期的な効果のため、お子さんがいうことを聞いていると勘違いしてしまうのです。
内発的動機付けがなく、親の目が届くところでしか効果はありません。

逆に、人間関係を構築する習慣もあります。
(1)傾聴する
(2)支援する
(3)励ます
(4)尊敬する
(5)信じる
(6)受容する
(7)意見の違いについては交渉する

どうでしょうか。

もし自分がこんな関わり方を相手からされたら、相手のために自分がなにかできることはないかな?と思ってしまいませんか。
強制しなくても、内発的動機付けが自然に発生し、言うことを聞いてしまう可能性はありませんか。

関わり方が改善されたら、良質な情報提供として、お子さんが何を望んでいるのかを聞き、それに対する支援的情報提供が効果的です。

例えば、将来スポーツ選手や医者になりたいなどがわかり、その職業に就くことで何を得たいのか?ファンを楽しませたいのか、困っている人を救いたいのか、などがわかれば、得たいものに対する効果的な行動選択の情報提供もよいと思います。

この情報提供こそ親の本領発揮です。職業は手段にすぎません。
お子さんの願望をていねいに聞き取り、支援することがこの問いに対する答えではないでしょうか。

今夜、時間を少しとり、お子さんの願望について話し合うことも効果的です。ただし、その際の注意点があります。
お子さんの願望について、お子さんにさせることではなく、親としてできることを挙げてみてください。
ここまでお読みいただいた親御さんは、なぜそうするのかはもうお分かりのことと思います。

(※)アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサーが提唱した心理




[執筆者]

角田智之先生
つのだデンタルケアクリニック院長
歯科医師
日本選択理論心理学会認定選択理論心理士

[プロフィール]
予防歯科と口腔外科、舌痛症診療を中心にした診療を行っています。予防歯科は唾液検査を実施し、患者さん一人ひとりにデータに基づいたオーダーメイド予防プログラムを提供することで、地域における歯科疾患の予防に努めています。
原因不明の舌の痛みを主症状とする舌痛症は心理的要因にて発症するといわれており、メンタルヘルスが大きく関わっていると考えられています。当院は、数少ない舌痛症を診療するクリニックであり、なかでも薬を使わず心理療法のみで改善することに力を入れています。オンライン診療も行っており、患者さんは全国から受診可能な体制を整えています。そのほか、メンタルヘルスに関する相談も行っています。
心理的側面からの身体への影響は計り知れないものがあり、少しでも心理療法を通して、困っている患者さんのお役に立ちたいと願っています。

つのだデンタルケアクリニックホームページ
http://www.tsunoda-dentoral.net/

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