水辺に近づいたとき、大変なことにならないためには?新見正則医院院長、新見先生に伺いました!

子どもだけ出かけて、なにかあったらどうしよう。
水辺に近づいたとき、大変なことにならないためには?そんな悩みについて、今回は新見正則医院院長、新見 正則先生にお伺いしました。



リスクを避けているばかりではダメ?!

リスクは経験しないとリスクと認識できません。
転ぶと痛いと感じたり、お湯が熱いと解ったり、ハサミの使い方を間違えると怪我をしたりとか、いろいろなリスクを上手に経験して子どもは育っていきます。

成長期のどの過程で、何歳の時に、どのリスクを経験させるかはご家庭の教育方針によると思います。
転ぶと痛いと感じるのは、ハイハイから歩行に移る段階で自然と経験できますが、お湯が熱いと感じることは、上手にとても熱いお湯を与えないと解りません。
そしてハサミは与えなければ、ずっとそのリスクを知らないままです。
ハサミの次は包丁やナイフになります。
ちょっとしたリスクを経験させると、次の体験に移ることができるのです。

リスクを予想できるようになれば、危険を避けることも・・・

またある程度の年齢になると、情報を理解してリスクを疑似体験できるようになります。
水難事故のニュースや子どもだけで出かけて不幸な結果になった事例など日頃からニュースを見ながら、「どうしたらこの不幸な結果を防げたのかな?」と、みんなで語り合うことが大切です。

水難事故は水に入らなければ発生しません。
水に入ることを全く予想していない水難事故と、泳いでいるときに生じる水難事故に分かれます。
水に入ることを予想していない状況は、ボートからの落下です。
この場合はライフジャケットを正しく装着していれば命の危険は相当に減少します。

水に入る場合は泳がずにただ水遊びをして生じる水難事故と、泳いだときに生じる水難事故に分けて考えましょう。
川の水遊びは結構危険です。
足を滑らして急流に飲み込まれることがあります。
また水泳中の水難事故はちょっとしたハプニングでパニックになって生じます。

僕は50歳まで金槌でしたが、その後トラアイスロンが趣味になったので泳ぐことは苦ではなくなりました。
幼い娘と一緒にプールに行った時は、まず一緒に泳いで、次に危なくない程度に、ちょっとパニックになる体験をさせていました。
しっかりと安全を確保し、今から何をするかを説明したうえで、足を少しひっぱったり、頭をちょっとだけ抑えたりして、動きが制限される体験をさせます。
お互いにちょっと水を飲むこともありますが、この体験をすることで、どんな時に身動きが取れなくなるか、どんな時に息が苦しくなるか、体験し危険を知ることで、リスクを予想できるようにすることが必要なのです。

そして、子どもだけでの外出時は、他の子どもにつられて日頃行っていないことをするときに不幸が起きる可能性が格段に上がります。
このリスクは実は回避不能です。
日頃から、子ども自身が自分でいろいろなことを想像できるようにしなければ、不幸に繋がる可能性がでてくるのです。

子どもの成長はリスクとの付き合いです。
すべてのリスクを成長過程に取り除いていては、成長してからリスクと向き合えない大人になってしまいます。
子どもを信じ、リスクを上手に体感させ、リスクの可能性を説明しながら育てことが肝要です。

執筆者

新見正則先生
新見正則医院院長

経歴
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。
98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。
2002年より帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。
2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。
20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。
現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。
最新刊『フローチャート整形外科漢方薬』はAmazonで三冠(臨床外科、整形外科、東洋医学)に輝きました。

新見正則の生き方論は以下の最新刊も参考にしてください。
『しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通』

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