ご褒美ルールが効かない!自主的に行動できるようにするには?そんなお悩みについて臨床心理士の方にお伺いしました。

ご褒美ルールを設定したけど、最近イマイチ効果がない?そろそろご褒美がなくても自主的におこなってくれないかな・・・そんなお悩みに、臨床心理士である大阪カウンセリングセンターBellflower代表、町田 奈穂さんにお伺いしました。

ご褒美ルールの効果的な使い方・タイミングは?

子どもへのご褒美の効果的なタイミングとしての王道は、何かに頑張って取り組んだ後でしょう。宿題をやった、苦手なことにチャレンジした、運動会への参加を頑張ったなど、習い事の発表会へ参加した、など日常的なことから、非日常的なものまで、さまざまなタイミングが考えられます。「子どもをモノで釣るなんて」という意見もありますが、これは良い面と悪い面の両方があるので一概にはいえません。子どもは本能的に生きています。知らないもの、初めてのこと、苦手なもの、嫌なものへ取り組むことやチャレンジすることは本能的に避けます。
しかし、このチャレンジ、少し我慢して堪えるという小さな我慢や小さなチャレンジの1歩1歩が子ども達の成長に繋がるのです。
ですので、本能的に逃げてしまいやすい子が少しでもチャレンジしやすいように、ご褒美を儲けることは良いことだといえるでしょう。

子どもへの効果的なご褒美はどんなものがいい?

まず、大切なこととして、ご褒美というのは必ずしもコトやモノだけではありません。子どもにとっては、親からの注目や「頑張ったね」という声掛け、頭を撫でてもらうといった関わり行動は最も効果的なご褒美です。
その次に効果的なご褒美は「子どもが好きなことやもの」です。何もせずに欲しいものを買ってもらった時と、何かを頑張ったことで欲しいものを買ってもらった時を比較すると、人は何かをしたことで手に入ることに対して喜びが続きやすいことが明らかになっています。

また、人の喜びや幸せな感情は「不足」が生み出すといわれています。いつも帰宅してゲームをするのが“当たり前”になっていると、ゲームで遊べた時の喜びも徐々に薄れていきます。そうすると、親が「ゲームできて楽しめているんだから、その分ちゃんと宿題もやりなさい!」と言いながら想像している“楽しみ”度合いと、子どもがゲームから感じている“楽しみ”度合いに差が出てきてしまいます。また、“当たり前の楽しみ”は徐々に感じ方が鈍くなってきますので、いつも当たり前にゲームができる、いつも当たり前に買ってもらえる、という状況が続くと、「別に好きなことはない」「別にゲームも楽しくない」など好きなものや楽しいものを感じにくくなることもあります。

このように、「〇〇を許している(△を買ってあげた)のに、宿題をなかなかやらないんです」というご相談を受けることはよくあります。まさに子どもにとって好きなものや、好きなことが特別ではなく、“当たり前”になってしまっているからなのです。
ですので、ご褒美を効果的に活用するためには、“一定の不足状態”をつくることが大切です。つまり、お預けをさせるということです。帰宅→ゲーム→宿題、よりは、帰宅→宿題+ゲームの方が、子どもにとってご褒美がより魅力的、つまりご褒美が“頑張ってでも手に入れたいもの”になり、「次もゲームするために早く宿題を終わらせよう!」というモチベーションにつながります。

ご褒美ルールって何歳くらいまで?

一般的に小学校5、6年生には自主的に出来るようになる、ともいわれますが、特に低学年だから、高学年だから、という年齢の区切りはないでしょう。その子に合わせたご褒美のタイミングやご褒美の内容の設定が大切です。
例えば、自主的に宿題や明日の準備が出来るようになってほしい、という場合。まず最初の段階では毎日取り組めた毎にご褒美を用意してあげると良いでしょう。ある程度出来るようになってきたら、次は◯日できたらご褒美と徐々に日数を増やします。そして、気が付くと最終的にご褒美がなくとも自主的に出来るようになっているはずです。もちろん、自主的に出来るようになるには、手順を見える化するなどの仕組み化がご褒美とセットで用意されていることが大切です。

また、ご褒美の設定の際には、ぜひ子どもが苦手、嫌だけどやらないといけない、ということだけにするということを知っておいていただけると良いでしょう。
例えば、本を読むのが好きな子に対して、「毎日本を読んでえらいね。これから1日1時間読めたら〇〇買ってあげるよ。」とご褒美を設定したとします。すると、本来は“好きだから読んでいた”という状態から、“好きなものを買ってもらえるから読む”という状態に変わってしまいます。すると、“徐々にご褒美をもらえないなら読まない”というように、せっかくの素敵な頑張りが無くなってしまいます。
ですので、ご褒美の設定はぜひ本人が苦手としているけれども、頑張って乗り越えてほしい!というものにしましょう。

執筆者

町田奈穂
臨床心理士・公認心理師

経歴
同志社大学大学院 心理学研究科修了。
在学時より滋賀医科大学附属病院にて睡眠障害や発達障害に苦しむ人々への支援や研究活動を行う。
修了後はスクールカウンセラーやクリニックの臨床心理士を経験。
2020年、父の病気を機に父が経営する機械工具の卸売商社へ入社。
そこで多くの企業のメンタルヘルス問題に直面し、大阪カウンセリングセンターBellflower(大阪府寝屋川市) を設立。
現在は、父の後を継ぎ機械工具の卸売商社の代表を務めるほか、公認心理師・臨床心理士として大阪カウンセリングセンターBellflowerを新規事業とし、支援者支援をテーマとした研究や臨床活動を行っている。

大阪カウンセリングセンターBellflower
https://counseling-bellflower.com/

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