前回のお話
自閉スペクトラム症と中度知的障害をもつ4歳の娘ゆみかちゃんを育てているあやこさん。あるときバス停で女性に声をかけられ、挨拶ができないゆみかちゃんについて発達障害があることを説明します。女性は知り合いにも障害児がいるからわかると言ってあやこさんを励ますつもりで色々と言葉をかけてくれますが、女性のその気持ちはわかっていても「神様が育てられるママを選んだのよ」という言葉はどうしても受け入れられず・・・。
障害児のママは神様に選ばれたと言われて[2]
バスが到着し、私も女性も立ち上がります。
「ゆみか、バス来たよ。ホラ早く行こう」
娘に声をかけますが
「まま、うしゃぎのおやこ」
絵本に意識がいっている娘はなかなか立ち上がりません。
「お嬢ちゃんどうしたの?早く行かないと」
女性も声をかけてくれ、焦る私。
「まま、うしゃぎのおやこ」
と言い続ける娘の手を引っ張り立ち上がらせようとすると・・・
「うしゃぎのおやこ・・・うさ・・・っ・・・う・・・ひぐっ・・・」
そう言って泣き出したかと思うと
「うわぁぁぁぁぁ」
突然地面に寝転がり地団駄を踏みながら大泣き。
「あぁっこんな時に・・・。ピョンピョン。ピョンピョンだよ」
焦りながらも冷静に娘に言います。
「え、どうしたの?どうして泣いてるの?」
突然泣き出した娘に驚いた女性が不思議そうに聞いてきました。
「ええと・・・決まった言葉を言われないと落ち着かないこだわりで・・・」
この説明も一体何回しただろう。
「?どういうこと?」
困惑した表情の女性。
説明してわかってもらえたことは一度もない。
「まぁでも、ママが抱っこしてあげれば落ち着くからね」
「あ、いやそれが・・・抱っこ嫌がる子でしてそれはちょっと・・・」
そう返しながらも、きっとこの説明もわかってもらえないだろう。
「大丈夫よ。子どもはみんなママが大好きなんだから。そんなわけないじゃない」
大泣きしてパニック状態の娘を前に、女性の言葉が突き刺さります・・・。
続きます。
植木千尋
ブロブフィッシュ似の主婦です
知的障害を伴う自閉症児を子育て&溺愛中