虫歯って遺伝や体質でなりやすい・なりにくいこと、あるの?ヒグチデンタルクリニック院長、三枝先生に伺いました!

虫歯って遺伝や体質でなりやすい・なりにくいこと、あるの?そんな疑問について、さまざまな患者さんを診察されてきたヒグチデンタルクリニック院長、三枝遵子先生にお伺いしました。



虫歯になりやすい人は体質や遺伝も関係ある?

虫歯になりやすい体質に、遺伝的要素が関係ないとは絶対言えないと思います。唾液の質、骨や歯の質は、あまりにも虫歯になりやすい方は関係しているかもしれません。しかし、私の今までの診療経験上、どちらかというと、遺伝的要素より環境的要素を整えてあげると虫歯になりにくくなっている気がします。

虫歯になりにくくするにはどうしたらいい?

虫歯になりにくくするにはまず、虫歯菌として有力視されているストレプトコッカス ミュータンス菌の感染率を低くすること。この菌は3才くらいまでに人に定着しやすいといわれているので、3才くらいまでにミュータンス菌の数を増やさないことが大事です。
では、増やさないようにするのにはどうするかという問題ですが、まず保護者の方のミュータンスリスクを低くすること!簡単にいうと、保護者の方のお口の清掃状態を良くすることです。子育てをする際、同じお箸やスプーン、フォークを使わない方が良いと聞いたことがありませんか?それが正にそのことです。
ミュータンス菌の多い保護者の方が、同じお箸やスプーンなどでお子さんに食べものを与えた時に、もれなく、ミュータンス菌までお子さんにプレゼントしてしまうのです。ミュータンス菌の多い保護者の方はより多くのミュータンス菌をお子さんに受け渡してしまいますし、ミュータンス菌の少ない保護者の方は少なくお子さんに受け渡すということです。
最初のミュータンス菌の数が少ないと、ミュータンス菌が増えにくいので、虫歯になりにくいと言われています。
たまに歯磨きをよくしなくても虫歯にならない方がいらっしゃるのをご存知ですか?そういう方は保護者の方も虫歯菌が少なく、ご自身も虫歯菌が少ないからだと考えられています。
虫歯菌が少なくても歯の質が悪くては虫歯になってしまうかもしれませんので、歯の主成分であるカルシウムや、カルシウムを効率良く吸収するために必要なビタミンDを含むバランスの良い食生活は大切です。ビタミンDは紫外線にも含まれるため、インドア過ぎずに、紫外線に当たり、外で元気に遊ぶこともお子さんの体づくりにも繋がるため、おすすめです。
また、歯の強化にフッ素を塗ることも大切になります。

そして、虫歯菌の大好きな砂糖の摂取量についても話さなければいけませんね。
砂糖の摂取量が多ければ、虫歯菌と砂糖からなる酸により歯が溶けやすく虫歯になりやすくなります。そのため、3才くらいまでは砂糖菓子デビューを遅らせるのも大切かもしれません。
砂糖菓子デビューを遅らせると、例えばですが、ニンジンときゅうりを食べた時に、ニンジンを甘いと感じるはずです。しかし、チョコレートとニンジンを食べれば、チョコレートが美味しいに決まっています。美味しい物はお子さんも分かります。
虫歯予防だけでなく、微妙な味の差が分かるよう砂糖菓子デビューを遅らせることも、私は味覚の発育のためにもなると考えています。
3才までお菓子をあげないなんて…と思うかもしれませんが、食べさせないということではありません。必ず集団生活になればお菓子を食べる機会はあります。お菓子デビューを遅らせるということです。
第1子は砂糖菓子デビューを遅らせることが成功しやすいかもしれません。ただ、第2子、第3子が難しいのは、お兄ちゃん、お姉ちゃんである第1子が食べているお菓子を下のお子さんにあげない訳にもいかず、下のお子さんにいけばいくほど、お子さんに手が回らなくなることもあり虫歯のリスクが高くなるように感じます。

歯医者さんに行ったとき、小さいうちは怖がって治療にならないかも?連れていってもいい?

小さなお子さんを歯医者へ連れて行っても迷惑にはならないと思いますが、もし、迷惑になるのではとお考えの方は、小児歯科と標榜されている医院に行くことをお勧めします。小児も対応しますという意味での標榜ですから、迷惑どころか、むしろお子さん大歓迎の意味ととらえて良いと思います。
当院でも初日は何も出来ずに泣いて帰るお子さんもいらっしゃいますよ。初めてで、歯医者独特の消毒の臭いの雰囲気の場で予防接種などの経験でしか白衣を見ないお子さんが、怖いと思うのは健全な反応ではないでしょうか?小さなお子さんでもコミュニケーションはとても大事です。コミュニケーションなくして、治療はなかなか難しいですよ。

また、虫歯になりにくくするのはやはり、フッ化物塗布、フッ化物配合歯磨剤を使用することが大切だと考えます。
最近、フッ化物の(フッ素)配合の歯みがき粉の虫歯予防効果から、使用の推奨基準が変わりました。
(出典元:4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法 一般社団法人 日本口腔衛生学会、公益社団法人 日本小児歯科学会、特定非営利活動法人 日本歯科保存学会、 一般社団法人 日本老年歯科医学会)
また、最近では在宅の高齢者でセルフケアできない人にも積極的にフッ化物を使う方向になっているようです。
お子さんの大切な歯を守るためにも、できるだけ気をつけてあげたいですね。

[執筆者]

三枝 遵子(さいぐさ じゅんこ)先生
ヒグチデンタルクリニック院長

[プロフィール]
1994年日本大学歯学部卒業。日本大学歯学部付属歯科病院・歯周病学講座を経て、台東区浅草で樋口歯科を開業。2009年にヒグチデンタルクリニックと名称を変え台東区雷門に移転、現在に至る。2011年に予防啓発活動として「ハミガキろっく」という歌を制作。2013年には「DVDでみる絵本」を制作。2021年には「なんではをみがくの?」という今更聞けない、大人にこそ読んで欲しい絵本を制作。欧米諸国並みに日本国民の歯の予防意識を向上させたい!と予防啓発に励む。

ヒグチデンタルクリニック ホームページ
https://0358270118.com/

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