目をぶつけた時は鼻をかまない・目を冷やさない!その理由は?いわみ眼科理事長 岩見先生に伺いました!

子どもが遊んでいるときに顔へボールがぶつかった!目の当たりを痛がっているけど、どうしよう?
そんな急なトラブルにもすぐ対応できるように、医療法人社団久視会いわみ眼科理事長 岩見久司先生よりお子さんの眼球打撲についてお伺いしました。

眼球打撲とは

目に物が当たるのは絶対に避けたい外傷です。しかし意外とよくあります。
先のするどい物でなければ、大丈夫かというと、実は当たりどころが悪ければ軽い外力でも大変なことになることもあります。
外傷の例を交えながらお伝えしたいと思います。基本的に眼に何かがあたった場合はすべて眼科を受診する必要がありますが、緊急性があるかどうかの判断を中心にお話をさせていただきます。

丸いもの(とがっていないもの)があたった場合

目の表面には角膜という黒目のところと、結膜という白目のところがあります。
角膜に当たった場合はかなり痛みます。チクチク、ゴロゴロした感じがあり、涙がたくさん出て、お子さんはなかなか目を開けてくれません。
逆に白目のところに当たると、時折白目のところに出血(結膜下出血)があらわれることがあります。
角膜の傷は点眼あるいは軟膏で、白目の傷は概ね経過観察だけで治ります。
目を開けてくれない場合、白目の出血が多い場合は眼科に急いで受診する必要があります。

丸いものでも、目の周りの骨の部分(眼窩)にはまり込むような物が当たると、目の周りの骨が折れる(眼窩吹き抜け骨折)ことがあります。
これは外力が眼窩にはまり込むことによって圧が上がるためです。だいたい鼻側の骨か、下側の骨が折れます。骨折の痛みは非常に強い鈍痛で、吐き気あるいは嘔吐を伴うことが多いです。
目の動きが制限されること(眼球が動きにくくなる)のほか、下側の骨が折れると、頬のところにしびれが出ることもあります。
これらの症状があれば直ちに眼科受診をしましょう。
鼻側の骨や下側の骨が折れると、その先には副鼻腔がつながっているため、もし折れていた時に鼻を噛むと鼻から空気が目の周りに入り込み、一気に腫れることがあります(眼窩気腫といいます)。
鼻の雑菌が目に入ることもありますので、骨折を疑ったら鼻をかまないようにも気をつけましょう。
なお、骨折などがあった場合押すことが禁忌になります。冷やすなどの行為は、無意識に押してしまう恐れがあるため、触らずに医師の診断を待ちましょう。

原因としては大きさ的には野球やソフトボールがぶつかることや、ケンカなどで拳や平手打ちでも打ち所が悪いと生じます。逆にサッカーボールやバスケットボールなどの大きいものでは稀です。
治療の際はまず、精細に撮影できる断層撮影(CT)で確定診断をしてからとなります。

するどいものがあたった場合

刃物でなくとも鋭いものとして目に当たり大怪我を起こすものとしては、お箸、木の枝、鉛筆などが上げられます。
当たり方はさまざまですが、簡単に眼球自体に刺さることがありますので、当たったかどうか疑わしい場合でも必ず眼科受診をしましょう。
場合によっては怪我をしたことに気づかないが刺さっていた、ということまであります。刺さっていたものが清潔かどうかも重要になります。
木の枝などの綺麗でないものが当たるとそこから感染症を起こすこともありますので、早めにしっかり受診をしましょう。
異物が刺さったり、傷が開いている場合は手を付けずにそのまま眼科を受診してください。刺さっている物を無理に抜こうとすると、かえって傷が広がる可能性があります。

予防はどうしたらいいか

子どもたちは何かを手に持って走り回ることが多いです。
先日は持って滑り台を滑っていたお子さんの持っていたピンセットが、眼窩に突き刺さる痛ましい事件が起きました。
とがった物を持って遊ぶのは避けるようきちんと指導すべきです。
木の枝など何かを振り回しているようなお子さんがおられたら止めさせるだけでなく、他のお子さんが近づかないようにするのも大事な教育です。
また、野球やソフトボールなどが当たるのは避けがたいかもしれませんが、眼窩吹き抜け骨折はしばしば経験されるものですので、練習や試合の日に開いている眼科救急の確認をしておくのは大切です。
怪我の程度によっては後遺症が残ることもありますので、正しく気をつけて、遊ばせるようにしましょう。




執筆者

岩見久司先生
大阪市立大学医学部卒
医療法人社団久視会 いわみ眼科理事長
眼科専門医
医学博士
兵庫医科大学非常勤講師

経歴
1日100人を超す外来をこなしながら、若手医師の教育や医師・医療関係者向けの講演も頻繁に行っている。
加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などを得意とする網膜内科医。
網膜の病気に将来繋がっていく可能性のある小児の近視が現在急増しており、近視治療にも積極的に取り組んでいる。
令和5年度より、「100歳まで見える目」をたくさんの方が持てるように啓蒙活動を展開中。

いわみ眼科ホームページ
https://iwami-eyeclinic.com

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