【前編】何歳からコンタクトってあり?コンタクトレンズ導入によるメリット・デメリットについてお伺いしました。

子どもの視力が落ちてきたからコンタクト導入を考えているけれど、何歳くらいなら使用できる?カラーコンタクトってどうなの?そんな疑問に、医療法人SCM 新川中央眼科院長 小川 佳一先生から前後編に分けてお答えいただきました。今回は前編です。

コンタクトレンズは「異物」!?

最近は小学生くらいの小さなお子さんでもコンタクトレンズをしている方を見かけるようになりました。その使用に問題はないのでしょうか?また、いくつぐらいから使えるものなのでしょうか?
コンタクトレンズは、確かに見た目やスポーツの時にずれにくい、寒暖差で曇ることがないなど、審美面や生活面でのメリットはあります。その一方で目にとっては「異物」です。黒目の表面や白目、瞼の裏などに傷をつけたり、炎症を起こしたりします。そのため医学的にはデメリットの方が多いです。
ですから、社会的なメリットと医学的なデメリットの天秤の中でうまく使っていく必要があります。

医学的なデメリットって?

医学的なデメリットで一番わかりやすいものは黒目(角膜)に傷がつくことです。そのほか、コンタクトレンズが瞼の裏(瞼結膜)や白目(球結膜)とこすれて炎症を起こしたり、荒れて粘膜が傷み凸凹ができたりします。しかし、まだこれら表面的な障害は、たいていの場合コンタクトの装用を中止することで改善することが多いです。

問題は、回復しないダメージの蓄積です。目はカメラと同じように、レンズ(水晶体)とフィルム(網膜)があります。そして光の通り道は透明でなければなりませんので、眼の中には血液が入っていけません。血液は酸素や栄養を運ぶのがお仕事です。血液が入っていかないので、眼の中は酸欠状態です。それを角膜の表面から吸収して補っています。その上にコンタクトレンズを乗せると息苦しくなるのはわかりますよね。イメージとしてはマスクを考えるとわかりやすいかもしれません。
ハードコンタクトレンズは硬くてゴロゴロと装用感は悪いですが、素材は比較的酸素を通しやすいものが使われています。それでもマスクをしてマラソンしていると思えばいかに苦しい状況か・・・。さらにソフトコンタクトレンズになると、最近はだいぶ酸素の透過性が良いものが出てきていますが、それでもマスクにラップを一枚かぶせていると思ってください。ものすごく苦しいですよね。

このような酸素不足により角膜の内側の角膜内皮が傷んでしまいます。この角膜内皮細胞はダメージを受けると再生はされず、二度と回復することがありません。このため、一生数が減り続けていきます。この角膜内皮細胞は角膜の老廃物を処理して、角膜が透明でいられるように頑張ってくれている処理工場です。数が減ると一つの細胞が処理しなければならない仕事の量が増えます。ある程度以上減ってしまうと処理しきれず、角膜が白く混濁して腫れてきます。こうなると、角膜移植をするしかなくなります。
実際には、その前に我々眼科医がドクターストップをかけますので、失明まで至ることは多くはありませんが、子どものうちからコンタクトレンズを使用していると限界が早く来る可能性はあります。

後編へ続きます

執筆者

小川 佳一先生
新川中央眼科院長
札幌生まれ 平成8年旭川医科大学卒業
札幌医科大学眼科学教室で研修し、旭川厚生病院、苫小牧市立総合病院、道立江差病院、札幌医科大学付属病院を経て平成18年新川中央眼科を開業。
札幌医科大学では斜視弱視外来のスタッフとして斜視・弱視、先天性白内障などの小児眼科を担当。
専門の斜視・弱視、屈折矯正、白内障手術だけではなく、開業後、総合病院では少なかった「眼科不定愁訴」の訴える患者が多いことから、ドライアイやマイボーム腺の疾患に興味を持ちドライアイ研究会・LIME研究会に所属し積極的に治療に取り組んでいる。

新川中央眼科ホームページ
https://www.shinkawa-med.jp/

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