知的障害を伴う自閉症児を育てている植木千尋さんから、ご自身の体験をもとに描かれた創作漫画です。自閉スペクトラム症と中度知的障害をもつ4歳の女の子ゆみかちゃんとママのあやこさんは、ある日バス停で一人の女性に声をかけられて・・・。
障害児のママは神様に選ばれたと言われて[1]
それでも私たちは進む
この子のために 道なき道を
「まま、まーま。うしゃぎのおやこ」
「・・・ピョンピョン」
「まま、うしゃぎのおやこ」
「ピョンピョン」
「まま、うしゃぎのおやこ」
「うん・・・ピョンピョンだね」
何度も繰り返される同じやり取り。
「まま、うしゃぎのおやこ」
「ピョンピョン」
「まま、うしゃぎのおやこ」
「そうだね。ピョンピョンだね」
「・・・・・・」
ようやく娘の言葉が途切れホッとしていると・・・
「まま、うしゃぎのおやこ」
「まだ続くの!?」
すると、娘が私の手を取って・・・
絵本にぐいぐい。
私の名前は瀬戸あやこ。娘のゆみかは自閉スペクトラム症と中度知的障害をもっています。
「・・・ゆみか、自分でページめくれるでしょ?それか『ママやって』って言うのよ?」
絵本のページをめくって欲しい娘は無言で私の手を絵本に持っていきます。
ハァ・・・と溜息をついたとき
「あら、その絵本好きなの?ウチの孫も好きなのよ~。よく読んであげてたわ」
一人の女性が笑顔で私たちに声をかけてきました。
「こんにちは。お嬢ちゃんいくつ?」
女性が娘に声をかけますが、
「・・・・・・」
シー・・・ン
娘は答えず、ヒラヒラさせた自分の手をじっと見つめています。
「あの、ごめんなさい。この子4歳なんですけど発達障害で挨拶とかまだ出来なくて・・・」
すかさずフォローした私。
「あらそうだったの。こっちこそ急に話しかけてごめんなさいね」
女性はちょっと戸惑いながら謝り、
「発達障害って最近よく聞くものね。そんな子もいるわよ。私もね、友達の親戚に障害児がいるからよくわかるんだけど・・・」
と話し続けます。
女性の話をぼんやり聞きながら、あ・・・まただ、このパターン・・・と思いました。
この人がおそらくいい人なのはわかる。
私を励まそうとしてることも・・・
わかってるのに
「神様が育てられるママを選んだのよ」
どうしても私はこの言葉を受け入れられないんだろう・・・。
続きます。
植木千尋
ブロブフィッシュ似の主婦です
知的障害を伴う自閉症児を子育て&溺愛中