小児科医ママからのアドバイス。マスクで「友達の気持ちが分かりづらい」ときのコミュニケーションの取り方について

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、コミュニケーションの方法が大きく変わりました。
前回は、そんな中での学校再開で、友達を作りづらい、という子どもたちの困りを書きました。
コミュニケーションとは、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションに分類されます。
マスク着用相手との距離をとる、という状況により、言葉が聞こえづらくなり、言語コミュニケーションも、非言語コミュニケーションもとりづらくなってしまいます。
これを補うにはどうしたらいいか、と考えたとき、
「言葉を聞き取るのが苦手で、表情を読みにくい子たちへの支援」
つまり、発達障害の子への対応が役に立つなと思いました。
そこで、私が外来でお伝えするコミュニケーション支援について、ご紹介させて頂きます。




言葉の聞き取りづらさに対しては、できるだけはっきりと、短い文章で伝える、というのが基本。
なので、お互いの距離がある状況で相手が自分の言ったことを理解していなさそうな場合は、短い言葉で繰り返すと伝わりやすい、という事を子どもたちも知っておくといいと思います。
ただ、舌足らずで言葉をはっきり言えないお子さんは、はっきりと言うということが難しいかもしれません。
自分の言いやすい単語に置き換えて伝える事も工夫のひとつ。
普段から、どんな言い方だと相手が聞き取りやすいか、ということを意識しておくといいでしょう。
コミュニケーションは双方のやりとりによって生まれます。
受け取る側の対応で、構音の問題がある子も、安心して言葉でのやり取りをおこないやすくなり得ます。
だから、発語の問題がない子も、相手の言っている事がわからないと感じたら、どんな風に聞き返したらよいか、考えておくといいと思います。
「聞こえなかったから、もう1回言って」という言葉も、口調や声の大きさ、速さで言われた人の感じ方は大きく変わります。
ゆっくりと、穏やかな口調で言った時と、早口で大きな声で乱暴に言った時の違いを確認し、どう感じたか、話し合うのもいいでしょう。

非言語コミュニケーションは、身振りや表情、姿勢、目や眉の動き、ジェスチャー、ボディータッチ、服装、髪型など、会話や文字を使わないコミュニケーションです。
マスク着用により相手の表情が読みにくくなったし、ボディータッチやハグなどの接触は、今は控えないといけません。
でも、他の手段を考えてみると、相手の気持ちを読み取ったり、気持ちを伝えたりする方法は沢山ある事に気付きます。




先日受診した患者さんが、オンラインショップで発見したという面白い言葉が書かれたTシャツを着ていて、思わず声を掛けたのですが、服装の工夫というのも、相手とのコミュニケーション手段の第一歩になります。
最近は、布マスクで個性を出す子が増えてきているので、ちょっとしたワンポイントがついたマスクや、可愛い色のマスクを着けているというのも、相手が話しかけやすいなと思うきっかけになるのではないでしょうか。
服装、マスクなどの色やデザインから、「親しみやすさ」について考えてみるのもいいかもしれません。

目や眉の動きから相手の気持ちを読み取る事が苦手な子もいます。
私は、ディズニープリンセスがブームの娘と、プリンセスの塗り絵や絵本、映画を見ながら、「今、どんな気持ちかな?」「怒ってるね」「悲しそうだね」などと、さりげなく表情を読む練習につなげています。
ディズニーのキャラクターは表情が豊かなので、低年齢の子も理解しやすいようです。
ディズニーに限らず、ミュージカルや演劇は、表現方法を学ぶ機会にもなるので、勉強になるなと思っています。
家族で鑑賞した後は是非、主人公の気持ちや自分の感じた気持ちを話し合うといいですね。
また、表情では伝わりにくい部分を、言葉で補うことも大切です。
「嬉しい」「ほっとした」などのちょっとした気持ちからでいいので、相手と一緒にいてよかったなと思う気持ちを口にすることを意識するといいのではないでしょうか。

ジェスチャーを上手に使うことも、コミュニケーションしづらい今の状況で、自己の表現に必要ではないかなと思います。
親指と人差し指で輪を作って「OK」
親指を立てて「Good」
数を口にするときは指でも数を表す
誰でもわかるこうしたジェスチャーを言葉に添えるだけで、受け取る側は、より安心して気持ちをキャッチできます。

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