前回のお話
夕食時に「神様に選ばれたとか言われるけど、嬉しいと思えない。パパはどう思う?」とご主人に問いかけたあやこさん。すると、スマホを見たまま大きな溜息をつき「ゆみかが可愛くないってこと?」「愛情が足りてないんじゃない?」「ゆみかはゆみかだろ?他人と比べるなよ」と正論ばかりのご主人。そして、泣き出したゆみかちゃんに「まーま、まーま」と言われているあやこさんに「ほら、ママ選ばれてるぞ」と言って・・・。
障害児のママは神様に選ばれたと言われて[26]
「どうもー」
「ごくろうさまです。うるさくてすみません」
配達された荷物を玄関で受け取るあやこさん。
「うわぁぁぁぁぁ うしゃぎのおやこぉぉ」
家の中からはゆみかちゃんの大きな泣き声が響いています。
「良かった・・・やっと新しい絵本来た・・・」
自分でお気に入りの絵本を破っておいて、絵本がなくて荒れっぱなしだったゆみかちゃんにげっそりしていたあやこさん。
「ゆみか、『うさぎのおやこ』だよ」
これで少しは落ち着いてくれるといいなと思いながら、泣いているゆみかちゃんに届いたばかりの絵本を差し出すと・・・
ゴッ
いきなり絵本をあやこさんの頭に叩きつけたゆみかちゃん。
あやこさんは余りの痛みに声も出ません。
あやこさんが痛みに悶えていると、ゆみかちゃんが今度はテレビの画面を絵本でガンガン叩き始めます。
「ゆみか!!人を叩いてはいけません!!絵本は大切に!!」
ゆみかちゃんを押さえつけ、大きな声で叱るあやこさん。
私だって怒らずニコニコ育児したい。
みんなどうして神様の話で説教しようとするんだろう?
私がゆみかを可愛がれないダメな母親だから?
『選ばれた』は一人で耐えろって意味だから?
泣いて暴れるゆみかちゃんを抱きかかえながら、あやこさんはそう思いました。
続きます
植木千尋
ブロブフィッシュ似の主婦です
知的障害を伴う自閉症児を子育て&溺愛中