前回のお話
これまで、泣き叫ぶゆみかちゃんに心無い言葉を投げかけられる経験をしてきたあやこさん。面談中、泣き始めたゆみかちゃんをなだめるあやこさんに茂木先生は「ここではいくら泣いても大丈夫。何に不安を感じてるのか、僕たちもゆみかちゃんのことをよく知りたいんです」とにっこり。今まで経験してきた対応との違いに驚きつつも、ここでなら話しても笑われないかなと感じたあやこさんは「障害児の母親は本当に神様に選ばれてるんでしょうか?」と気になっていたことを聞いてみました・・・。
障害児のママは神様に選ばれたと言われて[10]
「神様に・・・なるほど、子育てしてるとよく聞く話ですね」
あやこさんの質問に否定も肯定もしない茂木先生。
「ゆみかは遅れが目立つせいか、私が神様に選ばれたとか、ゆみかが雲の上から私を選んだとか・・・そんなことをよく言われるんです。
普通は・・・そう言われたら嬉しいんでしょうね」
そう話しながら、あやこさんは幼稚園での出来事を思い返します。
「園長先生、ゆみか自閉症でした」
「あのこれ・・・診断書もちゃんともらってきました。ゆみかへの接し方や加配のご相談ができればと・・・」
そう言って診断書を園長先生に手渡したあやこさん。
園長先生は診断書をじっと見つめ・・・
「やっぱりそうでしたか。以前からそうじゃないかな~と思ってたんですよ」
と一言。そして・・・
「ごめんなさいね。ウチの園では障害のあるお子さんのお世話はちょっと難しくてね。加配もつけられないし」
相談どころか、この園ではゆみかちゃんをみることはできないと園長先生はきっぱり。
「それは・・・退園しろという意味ですか?」
ショックを受けるあやこさん。
退園して欲しいとはっきりとは言わないものの・・・
「いやいや、ゆみかちゃんにはゆみかちゃんに合った育て方があるってことよ」
「ホラ、こういうお子さんってお母さんを選んで生まれてくるじゃない?あなたなら大丈夫よ」
園長先生はあやこさんにそう言ったのでした・・・。
続きます
植木千尋
ブロブフィッシュ似の主婦です
知的障害を伴う自閉症児を子育て&溺愛中