心臓病で産まれた息子は1歳過ぎまで入院生活を送っていて、退院後も定期的な検査やリハビリのために通院する生活でした。そんな病院漬けの日々から少しずつ普通の日常生活を送るようになってきた頃、これから息子をどうやって外の世界に触れさせて行けばいいのかという悩みが出てきました。
重い心臓病で産まれた息子もゆっくり成長しています。色々な遊びにも興味が出ています。でも酸素ボンベをつけている息子を連れて公園デビューや児童館に行くというのはちょっと勇気がいることでした。そんな時に知ったのが『こばと園』でした。こばと園は心臓病のこども達のための自主保育グループです。1歳半で人見知りが激しく初めての人に対してなかなか心を開かない息子でしたが見学に行ってみる事にしました。
こばと園ってどんなところ?
どんなに重い心臓病があっても友だちと遊び社会性を身につけて欲しいという親の願いから始まった自主保育グループがこばと園です。発足は1976年でこれまでに300人以上の子ども達が巣立っています。
基本情報
保育日時:火曜日・金曜日 10時30分~14時00分 / オンラインこばと園は10時~
保育場所:浅草聖ヨハネ教会ホール
所在地:台東区蔵前2-7-6
電話:03-3851-9521 (保育日・保育時間内にお願いします。)
入園料:3000円
在籍料:3000円/月(長期休園には対応します。)諸経費200円/月
ホームページ:http://kobato-en.com/
こばと園を見学した日
教会のホールを借りて週2回行われている保育の場はアットホームで暖かい雰囲気に包まれていました。数人の先生が私の話にじっくりと耳を傾けてくれました。息子の心臓病がわかった時の事やセカンドオピニオンを受けて遠方まで手術を受けに行った事などをお話しました。
その間、息子は私の背後に隠れて私の洋服の裾をつかんでジッと様子をうかがっていました。背中越しに息子の緊張が伝わってきました。そんな息子に無理強いはせず、少しずつ興味のありそうな物を出してきて遊んでくれる先生達。私の話が終わる頃には息子も笑顔で先生達と遊ぶようになりました。その様子を見て「息子と一緒にここに通おう!」と決心しました。
息子が通った1年半
息子は1歳半~3歳までの間こばと園でお世話になりました。最初はなかなか私から離れる事ができませんでしたが、少しずつ少しずつお友達や先生と一緒に遊ぶ事ができるようになっていきました。
こばと園では色々な体験をさせてもらいました。
・季節ごとの製作
・晴れた日には近くの公園までお散歩
・夏はビニールプール
・冬はクリスマス会
・遠足では動物園などなど
病児を育ててきた大先輩のママ達や先生達がいつも笑顔で息子の成長を見守ってくれました。私は同じ悩みを抱えるママ達と何でも気兼ねなく話をする事ができました。親子共に社会に一歩踏み出すまでの勇気を与えてくれた場所だと思います。
卒園してからのつながり
息子が3歳の時に転勤で東京を離れる事になりそれと同時にこばと園を卒園しました。転勤先で普通の幼稚園に入園する事はとても大きな不安がありましたが、その時もこばと園の先生方からアドバイスをいただきました。昨年13歳で心臓の再手術をした時にも応援をしてもらって励みになりました。卒園して10年以上経ってもつながっていられる事はとても嬉しく心強い事だと感じています。
こばと園を知ってほしい
息子が通っていた頃はほとんど心臓病の子どもばかりでした。しかし最近では心臓病以外にも様々な病気を抱えるお子さんが通われているそうです。ホームページにはこばと園のこどもたちの病名が記載されているので参考にしてみてください。
大切な我が子が病気で産まれた時に、ただただ「助かってほしい」と願って必死に治療に励むものだと思います。やがて病状が落ち着いて子どもは少しずつ成長していきます。でも気がつくとお母さんの心はどこかに取り残されたまま。障害を持った我が子をどう育てていけば良いのか、誰にも相談できずに悩んでいるお母さんが多いのではないかと思います。
もちろん、病院や療育など専門的な場で相談できる事もあります。息子もそのような場所を利用していました。でも、専門的なアドバイスだけではなく、時には答えの見つからない愚痴をただ聞いてもらったり、同じような境遇のママ達と話す時間が必要だと思います。それが叶えられるところがこばと園です。私はこばと園に本当に救われたと思っています。
こばと園には病気なんて忘れてしまうくらいに笑顔いっぱいのお友達と明るい先生達がいます。そんな素敵な場所があるという事をひとりでも多くの方に知ってもらいたいです。