子どもが頻繁に足やひざの痛みを訴えるけれど、これって成長痛・・・?
そんな悩みについて、バレーボールVリーグチームのチームドクターも務める、医療法人藍整会 なか整形外科理事長 樋口 直彦先生にお伺いしました。
足首やひざなどが痛いと言われた!これは成長痛になるの?
成長痛であることもありますが、多くの場合は、いわゆる成長痛ではなく、成長期特有の運動障害と考えてもらえると良いと思います。
子どもには背が伸びるために、それぞれの骨の端に成長線があります。
成長線は大人の骨に比べると柔らかく弱いため、運動による負荷や刺激により傷みやすいのです。
子どもが足首や膝などを痛がる時は、痛みの原因の多くは成長線にあります。膝が痛い場合はオスグッド病、かかとが痛い場合はシーバー病であることが多いです。
あまりにも痛い時は通院してもいい?
もちろんです。原因をひとつずつ取り除くことにより治ります。
成長期に特有の痛みで、原因は
1)成長期の成長線の弱さ
2)運動のしすぎ(繰り返す動作)
3)骨が先に成長し、筋肉や腱が遅れて成長することによるミスマッチ(筋肉や腱が成長線についており、筋肉や腱が短くなることにより引っ張られ成長線が傷みやすい)
4)もともとの身体の硬さ(柔軟性がない)により、3の引っ張られる力がより強くなり成長線が傷みやすい
5)身体の使い方が悪い
ですので、個人個人の状況にあわせて治療していくのが良いでしょう。
自宅でできるケア方法ってありますか?
背が伸び切ってしまえば、成長期特有の運動障害は起こらなくなりますので、成長しきるのを待つことも必要です。
痛みが強すぎると安静にすることも必要になります。運動のしすぎであれば、練習内容を見直したり、休んだりする必要があります。
また、ストレッチが有効であることが多いので、リハビリに通ったり、アイシングやストレッチをしたりするなど、自宅でできるセルフケアやエクササイズの指導を当院ではしています。
成長期に起こる痛みの多くは、特有の骨の構造により起こる痛みです。
成長期特有の運動障害は、個人個人の成長の過程も違うので、痛くならない子どももいたり、個人差は大きいです。
そこを理解していただき、痛みに合わせて運動をしていく時期の必要があることを知っておいてもらえると良いと考えます。
お子さんが痛みと上手に使えるよう、工夫できるといいですね。
[執筆者]
樋口 直彦先生
医療法人藍整会なか整形外科 理事長・西院院長
[プロフィール]
帝京大学医学部卒業。その後、数々の病院で勤務し、2021年1月に医療法人藍整会「なか整形外科」の理事長に就任。
バレーボールVリーグのサントリーサンバーズのチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。
Vリーグ サントリーサンバーズの選手の治療の経験を含めて、スポーツ整形外科医として、患者さんの個々のケース、タイミングを共に考え最善の治療を行なっている。
医療法人藍整会なか整形外科京都西院
リハビリテーションクリニック
https://nakaseikei.com