【前編】毎日勉強もせずゲームに夢中!心配だけどどうすればいい?めんどくさがり屋の子どもを自学自習する子に導く方法

勉強は嫌がるけど、ゲームは夢中になってやっている。この熱心さを勉強にも活かしてくれれば・・・そんな風に思ったことはありませんか?今回は、ゲームの要素を活用した勉強方法について、一般社団法人インナークリエイティブセラピスト代表佐藤城人さんに前後編に分けてお答えいただきました。今回は前編です。

はじめに

「めんどくさがり」一般的には、マイナスのイメージが伴う言葉です。では、早速、皆さんにクイズです。この「めんどくさがり」をポジティブな言葉に言い換えてください。
(例「引っ込み思案」これは、「控え目・おしとやか」などのように言い換えること ができます)
この答え合わせは、この記事のラストでお伝えいたします。

では、ここから本編スターㇳ!
近年、子どものやる気を引き出す勉強法として、ゲームの要素を活用したゲーミフィケーションが注目されています。これはゲームを否定・敵視するのではなく、活用するための発想から生まれたものです。

勉強のゲーム化

子どもたちは、ゲームにワクワク・ドキドキ、夢中になります。ゲームの中には子どもを夢中にさせる仕掛けがたくさん埋め込まれています。例えば、レベルアップやア イテムの獲得、仲間との助け合いなどです。ゲーミフィケーションとは、このようにゲームで利用されている要素を勉強にも活かし、モチベーションアップに役立てる方法です。ではなぜ、子どもたちはゲームに夢中になるのでしょう?その要因は次の2 つです。

[A]期待感
「もう少しで達成できるぞ!」という期待感を持たせることです。ゲームでは、課題の難易度が順次上がっていきます。そして、ラスボスのような強敵も現れます。これらの難易度がプレイヤーの「もう少し!」という期待感を刺激します。結果的に、子どもたちも「もうちょっと」と、ゲームがやめられなくなるのです。

[B]適切な報酬(ご褒美)
適切な評価(フィードバック)や報酬が得られる仕組みをつくることです。努力に対する評価が迅速かつ適切に行われると、誰しも「やったぁ!」と嬉しくなります。多くのゲームは、課題の設定とそのクリアの繰り返しで進みます。課題は簡単すぎても難しすぎてもいけません。このバランスを保つことが、モチベーションの維持につながります。なお、報酬というと、「勉強に報酬が必要なの?」という疑問もわいてきませんか?この点については、後編の「ゲーミフィケーションにおける報酬(ご褒美)の意義」で触れます。

この2つを逆から考えるのならば、実際の勉強が楽しくない場合、
[A]子どもの期待に沿っていない課題やルールの設定
[B]評価の仕方や報酬の仕組みがわかりにくい設定

このような場合、子どもはやる気を失います。

勉強に「期待感」を持つようになるには?
では、勉強をゲームのようにワクワクと楽しいものに変えるにはどうすればいいのでしょう?それぞれAとBの観点から考えてみました。Bについては後編でお話しします。

[A-1]期待感とツァイガルニク効果
ツァイガルニク効果とは、達成や終了したものよりも、まだ完結していないものに対して、強く興味を持つことをいいます。連続ドラマなどでは、次回も見たくなるような場面で時間になりませんか?まさに「続きが気になる心理」です。

従って勉強の際も、区切りの良いところで終えるのではなく、時間で区切ることです。その際、保護者としては、「ここまでしかできなかった」のではなく「ここまでできた!」 と、できたところを評価し、続きを次回に持ち越します。

では、一回の勉強の時間の目安はどのくらいなのでしょう?
子どもが集中できるのは「年齢×1分」ないしは「年齢+1分」と言われます。10歳の子であれば、10×1=10分、または10+1=11分となります。この間、1つの課題(科目)に集中して取り組んでみてください。

[A-2]課題とルールを自分で決める
課題とは、「算数の分数が苦手」などのようにクリアすべき具体的なゴールのことです。ルールとは、「10分以内に10問正解する」などの制限や条件を設けることです。制限や条件を設定することにより、子どもは自分のペースを把握でき、かつ自分の意志で学習に取り組むようになります。

もちろん、最初からすべてを自分で決めるのは難しい場合もあることでしょう。その際は、一緒に話し合いをし、最終的に子どもに委ねてください。

親は目標やルールを決めるのではなく、あくまでも子どもが判断できるよう、必要な情報を提供する役回りであること。ここを意識なさってください。

・子どもが今、抱えていることは何だろう?
・どのようなルールだと子どもは喜ぶだろう?

ぜひ、わが子のことを理解するよう十分に努めてください。あなたが見つめる視線は、お子さんにも伝わります。そして、子どもが自分で自分の目標やルールを考えること。これが、お子さんの自主性を高めます。保護者の皆さんにとっても、子どもの考え方などを深く知るよい機会と捉えてください。

後編へ続きます。

執筆者

佐藤城人(さとうしろと)
一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会 代表
心理カウンセラー・心理セラピスト・気功師範

経歴
過去にアルコール依存症を患った経験があり、それを克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出合う。
各種依存症やインナーチャイルドを抱える方、さらには摂食障害の悩みなど、これまで10年間で約5,000名様の悩みをサポート。
近年はヤングケアラーはインナーチャイルドの予備軍と位置づけ、お子さまや親御さまの支援にも力を入れている。
2019(令和元)年一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。
カウンセラー・セラピストの養成にも力を入れている。

一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会
https://in-ct.org/

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