友達の陰口を伝えてくる子にどう接すればいい?と相談されたら、親としてどんなアドバイスをすればいい?
友だちが他の子の陰口を言ってくるのとき、どうしたらいいの?お子さんにそんな相談をされたことはありませんか?そんなときはどう対応すればいいのでしょうか?メディアでもご活躍中の臨床心理士である大阪カウンセリングセンターBellflower代表、町田 奈穂さんにお伺いしました。
そもそも陰口とは?
親御さん自身にも学生時代や職場、飲み会などで陰口が妙に盛り上がるタイミングを目にされたことが何度かあるのではないでしょうか。陰口を言う、という行為は世間的にはあまり褒められたものではありません。しかし、陰口というのは元来、社会的なコミュニケーション行動の一つです。
相手が知りたい情報を近場で共有することで人は親密性を増します。そのため、関係を築いていく上で、陰口はコミュニケーション行動として良い面もあるのです。「陰口は0に!」という訳にはいかないかもしれませんが、頻度やタイミング、内容に気をつけることは大切です。
なぜ友達は陰口を伝えてくるのか
(1)関係構築のため
進学やクラス替えなど友人関係が大きく変わるタイミングでは特に、陰口を伝えてくる子に関する悩み相談が出てきやすくなるかもしれません。それは上記の通り、噂話というのが元来社会的なコミュニケーション行動の一つとされてきたからです。陰口というのは、周囲の注目を集めやすく、共有し合える間であれば親密度は増します。陰口というのは簡単に人間関係を構築する手段の一つですので、お友達はお子さんと仲良くなりたくて他の子の陰口を伝えてきていると考えられます。
(2)不安解消のため
陰口というのは、コミュニティの中で相手を下げることによって、自分を上げ用途する意図もあります。つまり、自分の存在価値が不安であるからこそ、陰口を言って人を下げて自分の価値を守ろうとしているといえます。陰口を伝えてくるお友達は、何か不安なことや心配なことがあるのかもしれません。
陰口を言ってくる友達への接し方
(1)共感を示す
陰口を言ってくるお友達に対して、「そんなことがあったんだ。嫌だったね。」や「大変だったね」とお友達の辛い気持ちや頑張ったことに共感をまず示すことが大切です。「そうだよね。あいつ(あの子)そういうところあるよね」など、同調しないと仲間外れにされるのではないかと不安になることもあると思います。
実は同調を示すよりも『相手の苦労に共感を示す』ことがより親密な関係構築に繋がるのです。多くの場合において、友人関係が拗れるきっかけになるのは、手の苦労に共感を示せていないためが多いです。「そんなものだよ」「〇〇したらいいんだよ」など、良かれと思ってのアドバイスであっても逆効果です。まずは共感を示すよう、ご自宅で言葉の返し方を練習してみてください。
(2)ポジティブな噂話に置き換える
意図していなくとも、陰口に乗ってしまうことで、周囲からお子さんに対する好感度は大きく低下します。反対に、他人を積極的に褒める人は、良い噂を流すと印象が良くなり、親密度が増します。
そこで、他の子の陰口を伝えてくるお友達に対して、共感を示した後に、その子の良い面を伝えられるように練習してみるのも良いでしょう。「僕(私)は〇〇ちゃん、XXですごいと思うな」など、日頃から人の良い面を探す練習をしておくことで、その場ですぐに切り返しができるようになります。どうしても苦手な場合は陰口を言われた際には「〇〇ちゃん、笑顔が素敵なんだよ」など決まり文句をつくってあげることもおすすめです。
大切なこと
お子さんへの声かけとして、「それは無視していたら良いよ」と言うこともあるかと思います。しかし、このように相談してきた時こそ、「〇〇ちゃんはどうしてそういうこと言ってきたんだろうね。陰口ってなんで言いたくなるんだろう?」など考えを促すきっかけにしてあげてください。そして、「他の子の悪口を言われるとしんどいよね。一緒に悪口言わないと仲間外れにされちゃうような気もするよね」など、気持ちに寄り添ってあげてください。この行動はお子さんへの寄り添いだけでなく、親が見本として共感を示すことによって、子どもも「お母さん(お父さん)みたいにすれば良いんだ」と良い見本にしてくれます。
執筆者
町田奈穂
臨床心理士・公認心理師
経歴
同志社大学大学院 心理学研究科修了。
在学時より滋賀医科大学附属病院にて睡眠障害や発達障害に苦しむ人々への支援や研究活動を行う。
修了後はスクールカウンセラーやクリニックの臨床心理士を経験。
2020年、父の病気を機に父が経営する機械工具の卸売商社へ入社。
そこで多くの企業のメンタルヘルス問題に直面し、大阪カウンセリングセンターBellflower(大阪府寝屋川市) を設立。
現在は、父の後を継ぎ機械工具の卸売商社の代表を務めるほか、公認心理師・臨床心理士として大阪カウンセリングセンターBellflowerを新規事業とし、支援者支援をテーマとした研究や臨床活動を行っている。
大阪カウンセリングセンターBellflower
https://counseling-bellflower.com/