前回のお話
障害受容についての保護者講習会。特に未就学児の障害児の親は圧倒的に情報も仲間も少なく孤独を感じる人が多いけれど、障害受容のモデルがあるということはそれだけ仲間がたくさんいると思っていいと話す茂木先生。次は自己肯定感の話題になり、子どもの自己肯定感を育てるには「親の自己肯定感」が大切だけれど、そこが見落とされがちなこの社会では孤独、不安、劣等感から心にバリアを張ってしまう親も多いのだと話します・・・。
障害児のママは神様に選ばれたと言われて[16]
はるにれ福祉総合センターでは茂木先生たち職員の方が打合せをしています。
「多田あゆむくん、発達障害のため虫歯治療が難しいとお母さんから相談ありまして・・・」
「では僕の方で障害者歯科を調べておきましょう」
「西川ひなたさんの体感トレーニングとして次週から・・・」
「横田マリオくんの吃音についてお母さんから・・・」
打合せが終わると、保育士の花田先生が茂木先生の元へ・・・。
「あの茂木先生・・・ちょっと相談なんですけどいいですか?」
「はい」
「この間、瀬戸さんとの面談で『ママは神様に選ばれた』みたいな話してたじゃないですか」
花田先生が相談したのは、先日の面談であやこさんが口にした言葉についてでした。
「・・・してましたね」
「なんだか瀬戸さんそう言われて苦しそうに見えたんですけど、私どうしてあげたらいいかわからなくて・・・」
あのときあやこさんにどう返したらいいのかわからなかったと話す花田先生。
「この話って否定した方が良かったと思います?それとも『瀬戸さんは選ばれてる』って言った方が良かったですか?」
花田先生から相談を受けた茂木先生は、
「うーーーん・・・」
としばらく考えた後、
「いや、僕にはサッパリですね。なんせ神様見たことないですから」
あっけらかんとそう答えた茂木先生。
「ま、そうですよね・・・」
予想外の返答に、花田先生はガクッと拍子抜け。
すると、茂木先生は
「・・・では、少し角度を変えて質問してみましょうか」
と話し始め・・・。
続きます
植木千尋
ブロブフィッシュ似の主婦です
知的障害を伴う自閉症児を子育て&溺愛中