昔ながらのオムライス、召し上がれ

わざわざお昼少し前にアポなし訪問してきて、「お昼どうする?」と聞く義母はご飯を食べに来ている事は明らかです。オムライスと聞いて「手抜き料理」と文句を言うものの、しっかり食べるつもりでテーブルに着くのでした。
義母にオムライスを出すと、「あらっ、昔ながらのってやつ~?」って、まずは『ありがとう』じゃない?でも義母は「今は半熟トロトロでぱっかーんってやるのが流行ってるのよ、知らないの?」とまた文句を言い出しました。

そばで聞いていた夫アツシは、「母さん、前にそれでお腹壊しそうだから要らないってキョウコに話してただろ?」とすかさず言ってくれました。そうそう、私がぱっかーんのオムライスを作った時にはそんな風に文句を言っていましたね。「だから、ムリに食べなくてもいいんだって!」とアツシに言われた義母は、「それはそれ、これはこれでしょ~」と不満そうに言いました。

すぐにいつものようにユイトの後ろにまわると、「ちょーっと今の流行を言っただけなのに、そんな言い方しかできないのかしら。ユイトくんはパパみたいに意地悪になっちゃダメよ~」と私たちに聞こえるように大きな声でユイトに言うのでした。「作り直しましょうか?」イラッとする気持ちをおさえながら聞いてみるとすぐに「あら、いいの?じゃ、お願いするわ」と義母は言いました。ずっと『ぱっかーん』のオムライスが食べてみたかったようです。ホント素直じゃない義母。文句ばかり言いながらも食べないという選択肢はないのです。私は対抗策を思いつきました。

残りのたまごを見て「あっ・・・」と私は気づいたように言いました。「ただ・・・今、お義母さんに出したオムライスの卵、平飼い朝採れのブランド卵だったんですけど。次に作るのは私用だったので、普通の卵になるんですがいいですか?」
すると義母は『ブランド卵』ということばに直ぐに反応しました。「何?何?ブランドの卵?」

嬉しそうに「それを早く言いなさいよ~。仕方ないからこっちを食べてあげるわ。あなたは普通で良いわよね。」と言って、嬉しそうに食べ始めました。
まぁ、適当に言ったブランドたまご。昨日スーパーで買ってきた普通のたまごですけどね。義母が「昔ながらの」と少し馬鹿にしたように言っていたオムライスを「あらっ、うふっ、美味しいわ~」と完食する後ろでほくそ笑む私に誰も気付きませんでした。
お義母さんはブランドに弱いのですね(笑)。美味しく完食できてなによりです。
※ストーリーは実体験を元にフィクションを加えた創作漫画です。
登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。
創作漫画としてお楽しみください。
原案:ママ広場編集部 脚本:のきわだ 編集:石野スズ
作画:マッマ
2歳差の兄妹を育てています。