[4]やばい新人ちゃん|会社の重役に挨拶くらいしたら?彼とのデートで定時帰りの新入社員に言えなかった。

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前回のお話

入社3年目のハルさんが所属する経理部の斎藤顧問が近々退任されることになり、ハルさんはともか先輩から初めての幹事役を仰せつかりました。緊張と共にお世話になった斎藤顧問への感謝の気持ちがいっぱいのハルさんは、素敵な会にしたいと総務部主任の公佳さんにアドバイスを求めました。美人で仕事もできる公佳さんのアドバイスと協力のお陰で会場や飲食の準備が進み、贈り物も素敵なものが見つかりました。ハルさんが色紙を準備して各部署を回ると、斎藤顧問の現役時代にお世話になった各部署の社員たちが次々と感謝の気持ちを書きこんで協力してくれました。

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顧問の出社最終日に挨拶も無く定時帰宅する新入社員

経理部の斎藤顧問の送別会が近づいてきました。公佳さんのおかげで滞りなく準備をすることができて私は本当に感謝していました。社員の皆さんに書いてもらった色紙は全部で5枚。斎藤顧問に喜んでもらえるといいな。そう思いながら色紙を眺めていたら、『あまり話したことないですが、お元気で(星マーク)足立』と、この日は彼氏とデート送別会には行かないとサラリと言ってのけた新入社員の足立ユナさんのメッセージもありました。内容はともかく、足立さんも書いてくれたのね。

送別会当日。定時きっかりに「お先に失礼しまぁす」とルンルンで帰っていく足立さんの背中を見送りながら、斎藤顧問は今日最後の出社日なのに、挨拶もしないんだなぁと思いつつ、私は何も言うことができませんでした。

斎藤顧問の送別会が始まると、公佳さんが言っていたようにたくさんの社員が次々にやってきました。いつもは強面の総務部長も「斎藤さんには本当にお世話になって」と穏やかな笑顔でご挨拶しているのを見て、とても良い雰囲気の会になって良かったとホッとしました。

しばらくすると社長も送別会にいらっしゃいました。「うちの社員が立派なのは、みんな斎藤君が指導してくれたから。今日までありがとう。」そう言って涙で肩を抱き合う社長と斎藤顧問。私はいい会社に就職したなと思いました。

いよいよ斎藤顧問に色紙を渡す時になりました。緊張しましたが、「入社した時からずっとお世話になり、ありがとうございました。」と、気持ちを伝えることができました。斎藤顧問は「木村さんと一緒に仕事ができて良かった。これからも頑張ってくださいね。」と笑顔で言ってくださいました。その時、「斎藤さん!」と後ろで良く通る力強い声が聞こえました。斎藤顧問に少しでも挨拶したくて、仕事を終えて参加する社員がまだまだいそうです。

斎藤顧問のように、退職の時にたくさんの社員に感謝され、笑顔で送られる人生は素晴らしいですね。厳しくても愛のある指導をされてきたのだろうなということが伝わります。

※ストーリーはフィクションです。 登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。 創作漫画としてお楽しみください。

原案:ママ広場編集部 脚本:船井秋 編集:石野スズ
脚本・作画:めめ
のらりくらりと育児をしながら日常のイラストを描く4児の母。

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