食べられなかったいくら

夫の実家では父親が一番偉かったという言葉を聞いて、私は義実家での出来事を思い出しました。立派な出前寿司を取っていただき、みんなで食べようとしていた時のことです。「さぁ、食べよう」と義父が言うと、すかさず義母が「お父さん、どれ食べます?」とお箸と皿を取りました。義父はただ座ったまま、「じゃ、マグロ2つとウニ2つ。それにいくらも貰おうか。あたおアナゴも2つ。」指示通り義母がどんどんお皿に取っていきました。因みに、ですが。4人前のお寿司だったので全てのお寿司は4貫ずつです。

義母は「はいどうぞ」とお皿を義父の前に置くと、今度は夫のユキヒロに「ユウ君は?何を食べる?」と聞きました。同じように座って待っていた夫は「えーっと。マグロとウニ、アナゴといくらと中トロかな。」と言って義母にお皿に取ってもらいました。

ユキヒロが食べたいものを取ってあげてから、義母は「じゃ、私は何を頂こうかな~」と言って、かっぱ巻きやいなり寿司を取ると、私に向かって言いました。

「じゃ、アヤサさん。好きな物いただいて。」ようやく私の番が回ってきた。「はい。いただきます。」と、さっそく大好きないくらに手を伸ばしました。まだ残っていた、いくら!

いくらに手を伸ばしかけた私を遮るかのように、義母が「あっお父さん、いくらは食べます?」と口を挟みました。義父は当然のように「うん。貰おうかな?」と言ったので「アヤサさん、先にお父さんの取ってもいい?」と言う義母にイヤと言えるはずもなく「あっ・・・はい。」ユキヒロが言いたいのは、あの時の義父のような扱いをして欲しいということなのかな。
家長の父親を敬い、優先するご家庭だったのですね。それにしても、義父は家族のことはあまり考えないのかな、と思ってしまいます。2歳と0歳の育児に奮闘中のアヤサさんにとって義母と同じ行動は難しいですよね。
※ストーリーはフィクションです。 登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。 創作漫画としてお楽しみください。
原案:ママ広場編集部 脚本:のきわだ 編集:石野スズ
作画:ねむりひつじ
3歳boyママ。面白かったり可愛かったなぁと思った子どもの様子をノリと勢いで描いています。