勉強が得意な子と苦手に感じる子って、何が違うの?きっかけなんてある?選択理論心理士の角田先生に伺いました!

勉強が得意な子と苦手に感じる子って、何が違うの?きっかけなんてある?そんな疑問について、今回は選択理論心理士でもあるつのだデンタルケアクリニック院長、角田智之先生からお話を伺いました。



頭の中に存在するイメージ写真とは?

脳のシステムから選択理論心理学(※)を用いて解説してみたいと思います。
人は、頭の中に自分の欲するイメージ写真を沢山持っています。
それをまとめたアルバムがあり、アルバムの中の各イメージ写真を得るために行動するといわれています。
ですので、どんな写真を頭に入れるかで、行動が変わります。
また、どんな写真を入れるかは本人しかコントロールできません。
イメージ写真は、新たに貼ることも、はがすことも本人であれば自由にできます。
ただ、このイメージ写真は一般的に「良い」ものばかりではありません。
例えば、アルコール中毒の患者さんの頭の中には、常に「お酒」の大きなイメージ写真があるはずです。
ゲームが好きな子であれば、「ゲーム」の写真があるかもしれません。
このイメージ写真として入るのは過去に気分が良かったことを記憶として写真にして保存しているといわれています。

勉強が得意な子と苦手意識を感じる子の違いはなに?

勉強が苦手な子は、勉強することで気分が良くなった経験が少ないのかもしれません。
勉強の嫌いな子に、親や先生が「勉強しなさい!」といってもするでしょうか?
もし、自分が好きでもないことを強制させられ続けたらどうでしょうか?
その勉強をイメージ写真として頭の中に入れ続けることは難しいでしょう。
少しの勉強というイメージ写真があったのに、ガミガミ言われ続けたら写真を完全に消去してしまい、親と一緒にいたくないので、代わりに“夜遊び”という写真を入れてしまうかもしれません。
さらに、教師のイメージ写真をアルバムから追い出してしまう可能性もあるのではないでしょうか。
親については生物学的関係性があるので、イメージ写真から完全消去することは困難といわれています。
しかし、イメージ写真としての重要度順位は下方に追いやられてしまうとも。
一方、勉強の好きな子は、過去に勉強することで「気分の良さ」を味わった経験があるかもしれません。
先生や親に褒められたり、友達に「すごいね、教えて」と言われたなどがあるのではないでしょうか。
そんな快適感情を得ることができたものとして、「勉強」や「勉強している自分」を大きなイメージ写真として持っている可能性もあります。
勉強のできる子に、「勉強していて何か良いことあった?」と聞いてみてください。
きっと、すぐに答えが返ってくることでしょう。
また、苦手な子に聞いてみると、結果は想像できると思います。

遺伝や環境の可能性は?また、親はなにをしてあげるといい?

遺伝に関しては未だ未知数ですし、今から変化させることは難しいですが、環境は変えることができます。環境や親・先生は重要だと思います。
以前、私の娘に嫌いな教科を聞いたら、算数が嫌いだと答えたのですが、一時期好きな時もあったそうです。
理由を聞くと、その教科の先生が好きだったと返ってきました。
教え方も上手で褒めてくれたのが嬉しかったのだとか。こういう関わりがあれば、イメージ写真に、「勉強して先生に褒められている自分」や勉強自体がイメージ写真として入るかもしれませんね。

親として、勉強に苦手意識を感じる子にかける言葉ですが、「勉強しなさい!勉強しないと良い学校に行けないわよ。あとで困るのは自分なんだから!」などと言ったり、思ったりしたことはありませんか?
「良い学校に行かせる」、「あとで困らないようにさせる」とは、強制であり親の求めるものであって、お子さんの求めるものではないかもしれません。
それならば、一度お子さんとじっくり向き合う時間をとり、話してみてください。
その際のポイントは、なにかをさせる強制や批判はしないようにすれば効果的です。
人は、強制を最も嫌います。他人と過去は変えられません。
傾聴し、お子さんが何を望んでいるのかをていねいに聞いてみてください。
はじめは、短絡的な答えしか返ってこないかもしれませんが、根気よくその先にある本当に望んでいることを探すとよいと思います。
その手段として、勉強が必要であることを理解すれば、ガミガミ言わなくても、自然と勉強をするのではないでしょうか?
そして、お子さんの可能性を親が“絶対できる”と信じてあげることです。
そうすればきっと、お子さんは親からの支援を感じ、心を開いてくれるかもしれません。
(※)選択理論心理学:アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサーが提唱した心理学

[執筆者]

角田智之先生
つのだデンタルケアクリニック院長
歯科医師
日本選択理論心理学会認定選択理論心理士

[プロフィール]
予防歯科と口腔外科、舌痛症診療を中心にした診療を行っています。予防歯科は唾液検査を実施し、患者さん一人ひとりにデータに基づいたオーダーメイド予防プログラムを提供することで、地域における歯科疾患の予防に努めています。
原因不明の舌の痛みを主症状とする舌痛症は心理的要因にて発症するといわれており、メンタルヘルスが大きく関わっていると考えられています。当院は、数少ない舌痛症を診療するクリニックであり、なかでも薬を使わず心理療法のみで改善することに力を入れています。オンライン診療も行っており、患者さんは全国から受診可能な体制を整えています。そのほか、メンタルヘルスに関する相談も行っています。
心理的側面からの身体への影響は計り知れないものがあり、少しでも心理療法を通して、困っている患者さんのお役に立ちたいと願っています。

つのだデンタルケアクリニックホームページ
http://www.tsunoda-dentoral.net/

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