
ボイストレーナーを目指したきっかけ
卒業後は、大手企業でSE(システムエンジニア)のサポート業務に就職しました。
当時は「音楽とは違う仕事を選んだ」と感じていましたが、この経験も現在の仕事に欠かせないものとなっています。
起業後、自社ホームページの運営やメールマガジンの配信、オンラインレッスンの構築などをスムーズに進められたのは、この頃に身につけたITスキルがあったからです。
人生には、一見遠回りに思える経験でも、後から振り返るとすべて意味があったと気付くことがあります。
その後、ご縁をいただき、アメリカ・ハリウッドへ渡り、世界的に有名なアーティストのボイストレーナーや、120人以上のアーティストを育てたボイストレーナーから直接学ぶ機会をいただきました。レッスンはすべて英語です。
大学で学んだ英語があったからこそ、専門的な内容を理解し、質問し、自分の考えを伝えることができました。
学生時代には「この勉強が将来何の役に立つのだろう」と思うこともありました。しかし、社会に出てから、その一つひとつが確実につながっていたことを実感しています。
ハリウッドに渡米していたときは、まさか自分がボイストレーナーになるとは思ってもみませんでした。歌うこと、ステージの仕事をすること、そのクオリティーを上げること、CDを出すこと、テレビCMソングに自分の歌声が採用されること。当時は、そのことばかり考えていました。
そんな私がボイストレーナーを目指したきっかけは、
「声そのものが好き」
という、自分自身の想いに気が付いたことでした。
帰国後はボイストレーニングスクールで講師を務め、約2年後に独立。
当時は大手企業で働きながらボイストレーニングを学んでいたため、ボイストレーニングスクールで働くと時給は半分になりました。
山梨から出てきて一人暮らしをしていた私にとって、それは生活に関わる大きな決断でしたが、
それでも「声」というものに魅了され、「自分本来の声」を出すことを日常にしたい。そう強く思い、思い切って大手企業を辞め、ボイストレーナーになりました。
実は、両親が厳しかったこともあり、ボイストレーナーになったことをすぐには伝えられませんでした。
独立して3か月後、ようやく母に、ボイストレーナーという仕事をしていることを明かしました。その後法人化し、現在ではレッスンだけでなく、ボイストレーナーの育成や企業研修も行っています。
第一子を出産する約5か月前には、出版社からボイストレーニングに関する書籍を出版する機会にも恵まれました。
出産前後も仕事を続ける日々でしたが、「好きな仕事だからこそ頑張れる」という気持ちが、私の原動力でした。
「好き」の積み重ねが未来につながる
コロナ禍では、多くの人が対面で集まることが難しくなりました。しかし、以前からアメリカ文化に触れ既にオンラインレッスンを取り入れていたことで、学びを止めることなく全国の生徒さんとつながり続けることができました。ここでも、英語を学び海外の文化に触れてきた経験や、SE時代に身につけたITスキルが役立ちました。
子どもの頃に好きだった歌、大学で学んだ英語、社会人になって身につけたITスキル、海外で学んだ経験。そのすべてが一本の線となり、今の仕事へとつながっています。
現在、私自身も二人の子どもの母になり、以前より強く感じることがあります。それは、お子さんが今夢中になっていることを、ぜひ大切にしてあげてほしいということです。もちろん、「好き」という気持ちだけで仕事になるわけではありません。 しかし、その好きな気持ちを支える学校での学びや、社会で経験するさまざまな出来事は、決して無駄にはなりません。
私自身、幼い頃から歌が好きでしたが、それだけで今の仕事に就けたわけではありません。学校で学んだ英語や国語、大学での学び、社会人になってから身につけたパソコンスキルなど、一見関係がないように思えた経験が、すべて今の仕事につながっています。だからこそ、お子さんが今夢中になっていることを大切にしながら、学校での学びも「将来どこかで役に立つかもしれない」という気持ちで応援していただけたら嬉しいです。
好きなことと学びは決して別々ではなく、人生の中で少しずつつながっていくものだと、私は自分自身の経験から実感しています。
未来は、今日の小さな「好き」の積み重ねから始まるのだと思います。
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