ピアノの練習はイヤだけど、ピアノは続けたい!そんな悩みについて、ピアノ講師でもある合同会社OFFICE Waon輪音CEOの三星裕里香さんに、前後編に分けてお答えいただきました。今回は後編です。
前回は「練習する意味を理解してもらう」ことをお伝えしました。
今回は「練習を習慣化させる」ことについて、お話しします。
2)練習を習慣化させる
習慣は一日にしてならず、です。習慣は小さく簡単なことから始めるのが大切。継続できなければ意味がありません。
人は新しいことをしようとすると、現状を維持しようとする「恒常性」が働き、抵抗を起こします。そのため、決してハードルを上げずに「1回」や「1分」などの短い時間から始めてみましょう。そして徐々にペースや量を増やしてみましょう。
おすすめの方法は二点。
一点は、「すでにある習慣と組み合わせる」こと。
例えば、夕飯は必ず毎日食べますよね。そこで「夕飯後に1回(or1分)ピアノを弾く」から始め、その回数や分数を徐々に増やしてみましょう。
二点目は、「20秒ルール」を取り入れること。
人は、取り掛かるまでのアクションが多いと諦めてしまいます。やりたい、習慣化したいと思うことは20秒早くやり始められるようにする、逆にやめたい、習慣化させたくないと思うことは、最初に20秒かかる手間を増やすようにすると習慣を変えやすいです。
例えば、ランニングを習慣化したければ、ランニングシューズは靴箱にしまわずに玄関に出したままにする。逆に、夜のおやつをやめたければ、見えるところに置かずに、袋に入れ、さらに蓋のついた箱に入れて戸棚にしまっておく。
ということで、ピアノを弾く前のアクションを減らし、20秒早く取り掛かれるように蓋を開けておき、譜面台に楽譜を開いて並べて置くようにするといいですね!
講師や保護者に必要なこととは?
そして講師の方や、親御さんにも必要なことがあります。
それは前回と比べて少しでも成長した点を見つけ、しっかりと伝えて褒めること。
そして「お子さんをしっかりと見」て「楽しくなる練習方法」を提示することです。
練習の何に躓きがあるのかをしっかりと見極め、その躓きをなくすことが大切です。
例えば、練習時間の確保が難しい子にはタイムマネジメントをサポートする。
練習に楽しさを見出せないお子さんには、単純作業にならないよう練習内容に変化を持たせる。
まだ完璧に弾けていない練習という”過程”が嫌だと感じるお子さんには、その過程を経て完成させていくということを建物の建設などの比喩を用いて伝えたり、本人の完璧を求める気持ちに寄り添って1小節ずつの練習を促し、達成感や成功体験を積み重ねていく、など。
お子さんの様子の観察、そしてお話の中でのヒアリングを通じて気持ちを知り、寄り添うことが必要です。
また、一人一人の得意に寄り添った練習方法の提示も大切です。ピアノだけに限らず、どんなことがスキで得意なのかを見極め、それを伸ばす練習方法でモチベーションを高めていきます。
練習の何が嫌なのか、何に躓いているのかを傾聴した内容を講師にお伝えし、練習内容や、家での練習の傾向を相談してみるのもいいかもしれませんね。
執筆者
三星裕里香
合同会社OFFICE Waon輪音 CEO。
プロフィール
札幌市出身。札幌大谷大学芸術学部音楽学科ピアノコース卒業。
卒業時、学長賞を受賞。
自身が思い悩んだ高校時代に音楽によって救われた経験から、多くの方に身につけた特技を生きる力にしてほしいという一心で、在学中から現在まで【ピアニスト×ピアノ・リトミック講師×音楽療法士】として北海道内各地、セミナー講師、編曲家として全国で活動を続ける。
大学卒業と同時に2013年に弊社の前身「音楽教室わおん」を開業。
4名の生徒で始まった教室は、口コミのみで1年で50名の満席教室となる。
2015年には音楽を一生モノの趣味特技にできる「5歳に伝わる音楽理論・ゆりかオリジナルメソッド®」を開発。
現在、前述のオリジナルメソッドを取り入れた、国内初となる音楽の動画学習アプリのリリースに向けて準備を進めている。
一生モノの趣味特技が見つかる音楽教室
合同会社OFFICE Waon輪音