夢半ばで挫折した過去

陸上部の白石コーチからの連絡で夏帆のタイムが落ちていることを知り、不安を拭い去るように夏帆にジョギングをさせた私。伴走しながら、過去の自分を思い出していました。
私は小さい頃から走るのが大好きでした。運動会のかけっこではいつも1番で、みんなからの称賛が嬉しかったし、すごく楽しかった。中学生で陸上部に所属し、本格的に走り始めてからも大会で優秀な成績を残した私は周りからの期待も大きくなった。その期待に応えているうちに、大好きだったはずの走ることが義務になっていった。そして少しずつ苦しくなっていった。

大学でも陸上を続けていた私だったけれど、足の故障が原因でそれまでと同じように走れなくなり、引退せざるを得なかった。あの時の絶望感は昨日のことのように思い出せる。

周りからの落胆の声も辛かった。でも一番辛かったのは、親の嘆き悲しむ姿。両親の落胆ぶりはすごくて、私はそれを目の当たりにするのが嫌で、だんだんと家に寄り付かなくなっていった。

新たに熱中できるものを探す気にもならず、ただ毎日をやり過ごしていた私に新しい世界を見せてくれたのが夫、駿だ。ある日、大学の学食でいつものように独りぼんやりとしていたところ、駿が話しかけて来てくれた。はじめは駿に強引に引っ張られる感じで出かけていた私も、徐々に駿に心を開き、知らなかった世界で駿と過ごすことが楽しいと思えるようになっていった。数年後、私たちは結婚し、そして夏帆が産まれた。

夏帆が産まれてからは、家族3人、ますます幸せな日々。初めての育児は大変だけれど元気にすくすく育つ娘に愛情を注ぐうちに、走ることへの情熱は収まったのだと思っていた。
夏帆さんの足の速さはお母さん譲りなのですね。早紀子さんは、心のどこかでは夢半ばにして諦めざるを得なかったアスリートの世界に心残りがあるのでしょうか。
※ストーリーは実体験を元にフィクションを加えた創作漫画です。
登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。
創作漫画としてお楽しみください。
原案:ママ広場編集部 脚本:八雫紫苑 編集:石野スズ
作画:そうはは。
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