[3]親の夢を押し付けられた娘|期待してはいけない。この子より速い子は山ほどいると自分に言い聞かせる母親

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前回のお話

陸上部でスプリンターとして練習に励んでいる中学生の娘夏帆さん。大会での活躍を期待されているものの、最近は記録が伸び悩んでいます。夏帆さんなら誰よりも速く走れると信じている早紀子さんは、このままでは勝てないのではないかと不安になり、帰宅した夏帆さんを休ませる間もなくジョギングに誘います。早紀子さん自身も、かつては走ることが大好きな子どもでした。しかし、周囲の期待に応えようとするうちに走ることが義務になり、大学時代の大会で故障したことをきっかけにそのまま引退。生きがいを失った早紀子さんでしたが、夫の駿さんと出会って結婚し、夏帆さんが生まれると娘に愛情を注ぐ日々を送るように。陸上への情熱も、すっかり消えたかのように思えました。

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もしかして、この子には『走る才能』があるのかも

私自身も、かつては走ることが大好きな子どもでした。けれど、周囲の期待に応えようとするうちに走ることが義務のようになり、大学時代の大会で故障したことをきっかけにそのまま引退。一時は生きがいを失いましたが、駿と出会って結婚し、夏帆が生まれたことで、灰色だった世界に色が戻りました。その頃には、陸上への情熱はすっかり消えていました。

夏帆に走る才能があると気付いたのは、初めての運動会でのことでした。周りの子どもたちを大きく引き離し、トップでゴールテープを切った夏帆の姿は、今でも忘れられません。金メダルを首にかけ、嬉しそうに手を振る夏帆に、私と駿も笑顔で手を振り返しました。

その後、夏帆をお迎えに行くと、私に気付いた先生が「ほら夏帆ちゃん、お母さん来たよ」と声をかけました。夏帆は私の姿を見つけると「おかあさーん!」と笑顔で駆け寄ってきました。私は夏帆の頭を優しく撫でながら、「夏帆は走るのが速いね~」と声をかけます。

すると夏帆は「うん!かほね、はしるのだいすき!」と言って、にっこりと笑いました。この子には、もしかしたら走る才能があるのかもしれません。しっかり指導すれば、私の現役時代を超えるほどの選手に成長する可能性もあるのではないか・・・ふと、そんなことを思ってしまいました。

その日の夜。3人で食卓を囲みながら、運動会の話で盛り上がりました。夏帆が走ることが大好きだと話すと、駿は「へぇ、夏帆は走るの好きか」と娘に問いかけます。すると夏帆は、カレーを頬張りながら、「うん、楽しい!」と笑顔で頷きました。

確かに、周りの子どもたちをあれだけ引き離して一番になった夏帆には、走る才能があるのかもしれません。けれど、この子より走るのが速い子なんて、世の中には山ほどいます。私は自分の中に芽生えた期待を打ち消すように「きっと今、たまたま楽しいだけよ」と答えました。

自分が叶えられなかった夢を娘に託したいという気持ちと、そうすべきではないという思いの間で葛藤する早紀子さん。けれど本人が望んでいないのにそこまでするのは、完全に親のエゴですよね。

※ストーリーは実体験を元にフィクションを加えた創作漫画です。
登場人物や団体名は仮名であり、実在の人物や団体等とは関係ありません。
創作漫画としてお楽しみください。

原案:ママ広場編集部 脚本:八雫紫苑 編集:石野スズ
作画:そうはは。

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