オルトレキシアって何?行き過ぎた健康志向が招く新型摂食障害を医師が解説

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「健康志向」の食事をする人とはどう違うの?また、摂食障害との違いは?

健康志向の人も、野菜を増やしたり加工食品を控えたりします。両者を見分ける重要なポイントは、「その食生活が生活を豊かにしているか、それとも支配しているか」です。健康的な食生活には、場面に応じて選択を変えられる柔軟さがあります。旅行先で普段と違うものを楽しんだり、友人との食事を優先したりする余裕です。一方、オルトレキシアではルール厳守が最優先となり、守れないと強いパニックや苦痛を感じ、人付き合いを犠牲にして孤立してしまいます。

いわゆる拒食症(神経性やせ症)は「やせること・体重」への強いこだわりが中心ですが、オルトレキシアは「食事の健康さ・純粋さ」を追求する点が異なります。ただし両者が合併したり移行したりすることも多く、明確には分けられません(※4)。
見落とされやすいのは、本人に「やせたい」気持ちがないことです。健康的であろうとする姿勢は周囲からほめられやすく、家族も本人も摂食障害だとは思わないため、受診が遅れます。

一方で、「健康に気を遣うこと」自体を否定してはいけません。アレルギーや糖尿病など、医学的な理由で食事管理が必要な方もいます。大切なのは、医療上の必要性があるか、本人が柔軟に選べるか、栄養状態が保たれているか、日常生活が損なわれていないかです。

オルトレキシアだと診断された場合の治し方や、病気との付き合い方、周りの寄り添い方について

オルトレキシアには正式な診断基準がなく、専用の治療法も確立していません。実際の診療では、まず身体的な安全と栄養状態を確保したうえで、本人の強い不安や完璧主義に合わせて、心理療法や栄養指導などを組み合わせて治療を行います。

注意が必要なのは回復のしかたです。長く低栄養が続いた体に急にたくさん食べさせると、血液中のリンなどが急激に下がり、心臓や意識に重い異常が起こることがあります(リフィーディング症候群)。「やっと食べられるようになった」時期こそ危険で、家庭で量を一気に増やさず、医療機関の管理のもとで戻します(※5)。

[家庭でまずできること]
●食べ物を「良い・悪い」「きれい・汚い」と決めつける会話を家庭内から減らしましょう。いろいろな食品をバランスよく食べる柔軟さを、家族で共有してください。保護者自身の「太ったから食べない」という一言も、子どもには強く伝わります。
●「こんなの気にしすぎ」「普通に食べなさい」と正論で論破しようとするのは逆効果です。本人にとっては、「毒を食べてしまうかもしれない」という強い恐怖が現実のものです。まずは「食べることが怖くなっているんだね」と本人の辛い気持ちに寄り添い、耳を傾けることが第一歩です。
●言葉で説得するよりも、家族がおいしそうに楽しそうに一緒に食事をする姿を見せることが、安心感につながることもあります。体重や体型については触れず、「一緒に食卓を囲めて嬉しい」と生活の広がりを喜びましょう(※6)。
●10代の摂食障害では、家族が食事の立て直しに関わる家族療法に効果が示されています。親の育て方が原因という見方とは正反対で、親は回復の担い手です(※5)。
●SNSや動画では、「○○は絶対に毒」「これだけ食べれば健康」など極端な表現ほど目につきます。情報源が公的機関か、単一の食品を万能視していないかを親子で確認しましょう。
●よかれと思ってサプリメントを足すのは慎重に。成分によっては摂りすぎで肝臓の障害などが報告されており、食品だから安全とは限りません(※7)。

[受診を考えたい目安]
「食べられるものがどんどん減る」「体重が目に見えて減る」「学校や友人関係に支障が出る」「食事のことで一日中不安になる」といった状態が続く場合は、家庭だけで解決しようとせず、早めに小児科、心療内科、精神科などに相談してください。本人が受診を嫌がる場合でも、地域の精神保健福祉センターや摂食障害の「相談ほっとライン」で家族だけの相談ができます(※8)。
特に、ぐったりしている、反応が鈍い、ほとんど食べたり飲んだりできない、失神を繰り返す、脈がとても遅いなどの場合は、本人の希望に関わらず、速やかな受診が必要です。摂食障害は重症になると命に関わります(※3)。
目指したいのは、子どもに「完璧な食事」を守らせることではなく、食事を栄養だけでなく、楽しみや人とのつながりを含むものとして経験させることです。健康を守るはずの食事が本人の自由や人間関係を奪い始めたときは、「意志が弱い」と考えず、専門家に相談するサインと捉えてください。

参考文献・情報源
※1.Donini LM, et al. A consensus document on definition and diagnostic criteria for orthorexia nervosa. Eating and Weight Disorders, 2022. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9803763/
※2.厚生労働科学研究「一般小児科医のための摂食障害診療ガイドライン」
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2014/143011/201410001A_upload/201410001A0017.pdf
※3.厚生労働省「摂食障害|子どものメンタルヘルス」 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/parent/mental/know/know_05.html
※4.Ng QX, et al. On Orthorexia Nervosa: A Systematic Review of Reviews. Psychopathology, 2024.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38432209/
※5.摂食障害情報ポータルサイト(専門職の方)「診療の手引き・ガイドライン等」(神経性やせ症初期診療の手引き、家族療法実践ガイド等を掲載)
https://edcenter.ncnp.go.jp/edportal_pro/guideline.html
※6.摂食障害情報ポータルサイト(摂食障害全国支援センター)「ご家族の方へ」 https://edcenter.ncnp.go.jp/edportal_general/around/around_family.html
※7.国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報(HFNet) https://hfnet.nibiohn.go.jp/
※8.摂食障害情報ポータルサイト(摂食障害全国支援センター)「診療連携・相談窓口」 https://edcenter.ncnp.go.jp/edportal_general/consultation.html

※本記事の作成・推敲にあたり、文章構成案および表現整理の補助として生成AIを使用しました。
医学的内容については医師が確認し、必要に応じて公的機関・専門学会等の情報を参照しています。

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