名もなき家事についても言及!全世代に見てほしい!!「ミステリと言う勿れ」

BASARAや7SEEDSという傑作を生み出した田村由美さんの最新作「ミステリと言う勿れ」。
私はもともと田村由美さんの作品が大好きで、中でも特に好きだったBASARAは、どうしても処分できなくて、結婚後も実家の屋根裏に保管しておいてもらっていました。
先日、長女が読みたがったため全巻を持ち帰ったところ、彼女はBASARAと田村由美先生の大ファンに。
そして書店で見つけたという同じ作者の新作「ミステリと言う勿れ」を買ってきたのが始まりでした。

主人公は、久能 整(くのう ととのう)と言う、もじゃもじゃ頭で一見覇気のない感じの大学生。(アイキャッチの画像が整くんです)
彼が、ひょんな事から殺人事件の容疑者になり、警察署に勾留されてしまうところから物語は始まります。
この手のシチュエーションって、よくある感じですよね。
そこから、容疑者となってしまった主人公が、警察や真犯人相手に、どう無実を証明するか、アリバイを提示したり崩されたり、そして真犯人は意外なあの人だった……!
というストーリー展開を想像されるかもしれませんが、この整くん、「友達も彼女もいない」というちょっと(かなり?)変わった人物で、物語はは予想外の展開を迎えます。




洞察力と推理力、記憶力が並外れた整は、聴取されている側なのに、なんと、だんだん警察官の人生相談を受けているようになってしまいます。
警察官の悩み、というよりは「娘が反抗期」とか「男性中心の組織の中での自分の存在意義について悩む女性」とか、どちらかというと誰しもが「あるある」と思える普遍的なもの。
整の話は、ひとつひとつにものすごく説得力があって、全部書き出したいぐらい好きなのですが、全国のお父さんに読ませたくなったのがこちら。

奥さんが妊娠5ヶ月の池本巡査。
靴の汚れからシャツのヨレヨレ感から、整は「奥さんとケンカ中」と一目で見抜きます、
「警察官は忙しいし、ゴミ捨てはしてるんだから感謝してほしい
という池本に、整は
「ゴミ捨て、どこからしてるのか」
と尋ねます。
「分別して、ゴミ箱に新しいゴミ袋をかける、これを家中のゴミ箱の数だけして、さらに生ごみの水切り、ついでに排水溝の掃除もして、ゴミを全部まとめ、集積所に捨てる」
までがゴミ捨てだと言い、妊娠中で体がしんどい奥さんが、集積所に持っていくことしかしてない池本への感謝は難しいのでは、と言います。




これ!
そう、これです。
「ゴミ捨ては俺の担当」
と誇らしげにいう全国のお父さん!!
まさか、綺麗にまとめられたゴミを、ゴミ捨て場に持っていくことだけで「ゴミ捨てやってる」気分になってないですよね??
一時期、「見えない家事」なんて言葉が流行りましたが、まさにこれだと思うのです。
例えば、料理でも同じことが言えると思います。
材料を買ってきて、冷蔵内の食材や家にある調味料の管理をして、献立を考えて、食事を作って、鍋やまな板を洗って片付けて、テーブルの上を片付けて、配膳して、食べ終わったら食器を片付けて、テーブルを拭いて、拭いた付近を片付ける。
食事の用意って、こんなかんじだと思うんですけど。
たまに「作る」ってところだけ担当して、ぐちゃぐちゃなキッチンを放置したまま誇らしげにしているお父さん、いませんか??

……ちょっと話が脱線しましたね。
漫画らしい躍動感や疾走感はあまりなく、整がひたすら話すだけに近い、不思議な漫画ですが。
整の頭の良さと、その独特の語り口調に、読み始めるとあっという間にはまってしまうこと請け合いです。
長女が買ってきたコミックでしたが、私、長男、そして今では主人まではまっていて、家族全員で次巻の発売を心待ちにしている状態です。
小学校高学年ぐらいから、楽しめると思います。




もう少し小さいお子さんだと、同じ作者ではしっかり者の小学生が主人公の「龍三郎シリーズ」がオススメ。
小学生にして苦労人感溢れる渋沢龍三郎と、元女優で美人だけど、めっちゃわがままで家事などは何にもしないママ蝶子、それと個性豊かな龍三郎の友人たちが織りなす、笑いあり、涙ありの冒険譚。
こちらも、大人から子供まで楽しめると思います。
もちろん、冒頭でご紹介した、我が家の長女がドはまりしているBASARAも、小学校高学年以上の女子には全員読んでほしいぐらいおすすめ。
登場人物が、主役級から脇役、更には敵役まで本当に魅力的で、何度読み返しても魅力があせないマンガです。

もし、「ミステリという勿れ」を読んで、自分の子供が整みたいにものが考えられるような子に育ったら……。
めっちゃ頼もしいなと思う反面、親の自分が太刀打ちできなくなりそうで、ちょっと面倒かもしれませんが。
整の考え方は、多角的で客観的で大人から見てもいい刺激になると思うので、ぜひご家族で読んでみてくださいね。

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