勉強嫌いの子どもに、勉強することの大切さを教えるにはどうすればいいんだろう・・・そんな疑問へ、今回は元高校教師でもある、株式会社J-エデュケーション代表取締役、寺田昌嗣さんに前後編にわたってお答えいただきました。今回は前編です。
少し見方を変えれば、勉強をするきっかけに
「勉強する意味が分かりません」──学校の教師をしていた時にも、学習法指導の教室をしている今も、こんなセリフを何度となく聞きました。
大抵の子は、そうは言いながらも、やっぱり勉強ができないことに不安があるものです。
そういう場合には、例えば勉強のやり方を教えてやって「騙されたと思って、これでやってみて」と、今までとは違うやり方を教えるだけで勉強に向かえるようになるものです。
恐らくは・・・
1)「今までは学校の勉強の教え方が悪かっただけ。君は被害者」というニュアンスの共感とねぎらいの姿勢で話をすること。
2)親でも学校の先生でもない、利害関係のない第三者が相談に乗るということ。
3)ちょっとやらされてみたら、実際に「できるじゃん!」という手応えが得られる新しい勉強法との出会いがあること。
こういう、いくつかの「きっかけ」がプラスに作用するのだろうと分析しています。
とはいえ、勉強に対して拒否したり反発したりする子はもちろんいます。
単なる反抗期かも知れませんし、それまでの教師や保護者とのやりとりの中で自己効力感や自尊感情がそこなわれているのかも知れません。中には「僕は〇〇で生きていくから、学校の勉強は必要ありません」と言い切って、本当に調理など修行の道に入っていった子もいました。
勉強をする意味について
ここで「頭ごなしに勉強を強要する」ことに何の価値もないことは理解しておく必要があります。
大切なことは、子どもの「勉強をしたくない」気持ちに寄り添い、根本的な問題を一緒に解決していく姿勢です。
その時に「きれい事を語らない」ことを大事にしてみてはいかがでしょうか?
例えば、学校で学んだことが、それほど社会に出て役に立つ訳ではないこと、とりわけ理科や社会で必死に暗記したことは大半忘れてしまっても問題ないこと。中学校以降の数学なんて人生に出番はないこと。── そんなことを、本音として認めるのです。(もちろん、役に立つと心から思えるなら、そう話してください!)
[執筆者]
寺田 正嗣
[プロフィール]
1970年、福岡生まれ。名古屋大学(法)卒。元福岡県立高校教諭。
現在は教育事業を営む傍ら、九州大学大学院(博士課程)に在籍し読書教育と学習法の研究に勤しむ。
教職在職期間は8年と短期間ながらユニークな授業が評判となり、全国紙一面に授業が紹介されている(1998年元旦・朝日新聞全国版)。
2001年に教職を辞し独立。教師時代から研究してきた高速学習と速読のメソッドを完成させ、その指導にあたる。
その効果の高さから、進研ゼミの特集号の監修をはじめ雑誌等の取材も多い。また速読法は私立大学の通年授業として採用された実績もある。
著書には10万部のベストセラー書『フォーカス・リーディング』等がある。
株式会社J-エデュケーション
https://www.kotonoba.jp/