どうして勉強しなくてはいけないの?と聞かれたらあなたはどう答えますか?今回はなかざわ腎泌尿器科クリニック院長、中澤佑介先生にお答えいただきました。
どうして勉強しなくてはいけないの?と聞かれたらどう答えますか?
まず、はじめに結論から言うと勉強はしたほうがいいと思います。
中国の諺でも「人に魚を与えると1日で食べてしまう。しかし人に魚の獲り方を教えれば生涯食べていく事が出来る」という言葉があり、勉強により人は「自立する力」「自分で生きていく力」を身に着けることができると考えます。
しかし、自分の学生時代を振り返るとその当時に勉強する理由は分かっていませんでした。(そのため、親にも負担や心配をかけましたが・・・)
具体的な例として医師が多く見る疾患は感冒(かぜ)ですが、医学生の勉強する内容にはほとんどの医師が一生の間に診察するようなことがない疾患が非常に多いです。
また、医学部の勉強は医師になるためという理由はありますが、医師の国家試験に求められているのは医学の知識だけでなく、多くの情報を処理し整理する能力も求められ、必ずしも勉強する目的とその内容が完全に一致するものではないと感じます。
しかし、その医師国家試験を通過しないと医師としては勤務できないのも現状です。
話をもとに戻すと子どもは「どうして勉強しなくてはいけないの?」と聞いてきますが、「どうしてゲームしなくてはいけないの?」と聞いてくる子どもがいないのは「早くゲームをやりなさい、しっかりちゃんとやりなさいよ」とは言われていないからです。
やりたいことをやっているのなら、誰も疑問を持ちません。やりたくないことをやれと言われるから「なんでしなくてはいけないか?」と問いかけてくるのです。
そのため、やらなくてはならない理由を教えるのではなく子どもが納得、またはモチベーションが上がるような答えを教えてあげられることがまず大事だと思います。
実際に自分の経験からも、理由を見つけることにより勉強へ向かうモチベーションが変わり勉強するようになります。
そして勉強すると確実に力がついてくるので、勉強前よりも人生が楽しくなります。
できなかったことができるようになるから、楽しくないわけがありません。
そうすると、人間はできるようになったことを誰かに伝えたくなります。
具体的には
サッカーがうまくなったら誰かに見てもらいたい。
ピアノが弾けるようになったら誰かに聴いてほしい。
数学や理科ができるようになれば、それが他人の幸せにつながることはたくさんあります。
医師にしてもそう、建築士にしてもそう、科学者にしてもそうです。
勉強は自分の幸せと他人の幸せをつなげることができます。
一方、現実的な側面として、統計学的に勉強する人としない人では年収が違ってくることなども包み隠さず伝える必要もあると思います。
最後に、「人間は考える葦」といわれるような弱い生き物ですが、学びにより文明を発展してきました。
繰り返しになりますが勉強はしたほうがいいと思います。