おねしょの相談、お医者さんに相談する、しないで違いはあるの?なかざわ腎泌尿器科クリニック院長中澤先生に伺いました!

子どものおねしょは自然に治るというけれど、そもそもおねしょって病気なの?今回は子どものおねしょ(「夜尿症」)について、なかざわ腎泌尿器科クリニック院長、中澤 佑介先生にお伺いしました。



[1]おねしょが続く時、親は何かできることはある?

おねしょは、「夜尿」という就寝中に無意識に尿が漏れる病態です。「夜尿」が5歳以降一定の頻度で出ることに対する病名が「夜尿症」になります。
夜尿症は一般的に年齢を重ねるごとに自然治癒が期待できる疾患とされています。(自然治癒率は1年で10%~15%、3年で20%程度)※1
一方、治療介入は治療期間の短縮や治癒率の向上が期待できる可能性があるとされています。※1

[2]「夜尿症」って?

「夜尿症診療ガイドライン2021」※2では5歳以降で、月に1回以上、就寝中の間欠的尿失禁(「夜尿」のことです。)があり、それが3か月以上継続している状態。と定義されています。

夜尿の原因としては主に下記の3つがあります。
1. 睡眠から目が覚めない(睡眠から覚醒する能力の欠如)
2. 就寝中に尿意が我慢できない(夜間の膀胱の畜尿能力低下)
3. 就寝中の尿量が多い(夜間多尿)
それに加え、夜尿の原因が尿崩症や二分脊椎など別の疾患のこともあります。

また、昼間の頻尿や尿失禁、尿意切迫感などの下部尿路症状がある場合は非単一症候性尿失禁、夜尿症のみの場合を単一症候性尿失禁としています。

[3]夜尿症の受診タイミングは?

夜尿症は成長とともに自然と治っていくこともあるのですが、夜尿症以外の疾患や排便習慣に伴う便秘によって起こる場合もあります。夜尿の原因が何なのかを早めにつきとめ、必要があれば対処を行うことが大切です。
学齢期のお子さんでは、おねしょをしてしまうことで自信をなくしたり、友達にからかわれたりすることで、心理的、社会的に悪影響を受けるケースもよくあります。当院では受診のタイミングと質問された場合は、小学校入学後に連日の夜尿を認めるときや、昼間の尿失禁や便失禁を伴う尿失禁の場合は重症度が高い可能性があるので、一度医療機関で相談を勧めるとお答えしています。

[4]お医者さんに相談する、しないで違いはあるの?

[1]おねしょが続く時、何かできることはある?で先述しましたが夜尿症に対して経過観察と何らかの治療介入を行った場合を比較すると、治療介入により治癒期間の短縮と1年後の治癒率は2~3倍高めるとされています。(経過観察 10~15% VS 治療介入 約50%)※1
また、小学校低学年での治療介入の方が夜尿症を早く治癒させる可能性があるとされています。※1
お困りのことがあれば一度医療機関に相談していただけいればと思います。

※1 明石俊二. 夜尿症研究. 14. 29-33. 2009.
※2 日本夜尿症学会, 編. 夜尿症ガイドライン2021. 東京: 診断と治療社: 2021

[執筆者]

中澤 佑介(なかざわ ゆうすけ)先生
なかざわ腎泌尿器科クリニック院長

[プロフィール]
【資格】金沢医科大学 医学博士、日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医、
2003年   京都府洛南高等学校 卒業
2012年   金沢医科大学 医学部医学科 卒業
2012年   金沢医科大学 氷見市民病院 初期臨床研修医
2014年   金沢医科大学 泌尿器科学 助教
2019年   金沢医科大学 大学院 博士課程修了
2021年   誠美会 池田クリニック(非常勤)
2021年   なかざわ腎泌尿器科クリニック 院長
2023年5月 金沢駅前にメンズヘルスクリニックを開院予定
患者さんに近い立場で専門的医療を提供したいという想いから、クリニックを開設。男性だけではなく、女性にも身近な泌尿器科クリニックを目指しています。

なかざわ腎泌尿器科クリニック
https://www.nakazawa-cl.jp/

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事