子どもの歯ぎしり大丈夫?歯ぎしりの対応策は?海外での見解は?安部先生にお伺いしました。

子どもの歯ぎしりについての海外での見解を、一般社団法人日本口育協会理事長、安部 秀弘先生にお伺いしました。

子どもの歯ぎしり、海外での見解は?

小児の歯ぎしりに関しては生理的反応であるという説がありますが、最近海外では小児においても歯ぎしりと睡眠時呼吸障害との関連性を疑い注意するようにいわれてきています。睡眠時呼吸障害は身体全体のパフォーマンスの低下や集中力や注意力の低下、落ち着きが無くなるなど脳への影響を与える場合があります。

歯ぎしり以外の懸念は?

歯ぎしりは睡眠時に交感神経が優位の状態にあると行われます。睡眠時に無呼吸やいびきなど呼吸しづらい状態にあると、寝ているときに極めて浅い睡眠状態に覚醒を繰り返します。このことが睡眠の質を低下させてしまうと同時に覚醒状態になる際に交感神経が優位となり、これが歯ぎしりの原因となる可能性があるといわれています。




睡眠時呼吸障害の症状として、低血圧で朝起きれない、立ち上がるとふらつく、耳鳴り、便通が悪くなる、手足の冷えなどがありますので、歯ぎしりと共にこのような症状がある場合は睡眠時呼吸障害がある可能性があります。
現在、世界的にも小児の睡眠時呼吸障害は問題視されてきていますが、具体的診断や治療はまだしっかりとは確立されていません。
また睡眠時に交感神経が優勢になる他のケースとして、夜間低血糖があります。
これはジュースや夕食などで糖質の過剰摂取があった場合、血糖値が上昇する事で血糖値を下げる為にインシュリンが分泌されます。インシュリンが分泌された状態で就寝すると血糖値が極端に下がり夜間低血糖になり、今度は血糖値を上昇させるアドレナリンが分泌され交感神経が優勢となり、歯ぎしりの原因になる可能性があります。
その他寝る直前までテレビやスマホ、ゲームなどをしている事が就寝時に交感神経を優位にさせてしまう原因となります。

歯ぎしりの対応策は?

歯ぎしりに対しナイトガードという夜間装着型の歯ぎしり防止装置がありますが、小児に対しては、このような装置を歯科で製作するのはあまり一般的ではありません。
歯ぎしりが生理的反応という考えもあったり、年齢が低いと製作や装着が難しいのと、生え変わりが始まるとナイトガードが合わなくなってしまうからです。しかしながら歯ぎしりによってかなり乳歯がすり減るケースもあり、永久歯の噛み合わせにも影響が出る場合もあります。
現状小児の歯ぎしりは注意して観察していくべきではありますが、具体的な診断や療法が確立していません。
ストレスや不安などが引き金になっている場合もあり、精神的な安定と適度な運動や正しい食生活を心掛ける事が重要です。

[執筆者]

安部 秀弘(あべ・ひでひろ)先生
一般社団法人日本口育協会 理事長

[プロフィール]
国立新潟大学歯学部卒
JODA(日本口育協会理事)
AAMS(アメリカ応用筋機能学会講演者)
AAPMD(アメリカ医科歯科生理学学会講演者)
IPOS(国際小児矯正学会ボードメンバー)

日本口育協会では0歳からの口腔機能の発達に関する歯科関連のセミナーや資格制度を行っています。口腔領域の正常な発達は全身の健康に繋がっていきます。
口育協会には0歳からの虫歯や歯並びに関する管理ができる全国の歯科医院が加入しています。
お子さまの口からの健康管理に興味のある方は下記HPアドレスよりお近くの歯科医院を探し相談をされてみてください。

一般社団法人日本口育協会
https://www.oral-development-association.org/

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