爪を噛むクセが続くとどうなる?やっぱり噛み合わせにも影響があるの?
そんな疑問について、医療法人社団三仁会那須歯科医院 院長の那須 一仁先生にお答えいただきました。
「爪を噛む」のは、歯並びや噛み合わせに影響する口腔習癖です
口腔習癖とは、日常生活において無意識に行っているお口のクセのことをいいます。
歯の並びは、外側の唇や頬と、内側の舌のバランスの上に成り立っています。
しかし、口腔習癖が長期間継続すると、このバランスが崩れて歯並びや噛み合わせに悪影響をきたすようになります。
今回は、口腔習癖の中の一つ咬爪癖(こうそうへき)についてお話しします。
皆さんは、正常咬合って知っていますか?正常咬合とは、歯並びが整っており、上下の歯が正しく噛み合っている状態を指します。
前歯でいえば、上の前歯が若干下の前歯を覆うような感じです。
それでは、今から普通に物を噛むイメージで、爪を噛んでみてください。爪を噛むことはできましたか?実は、普通に奥歯で噛み合う位置だと爪を噛むことができません。
逆に下の顎を前に出して 上と下の前歯を合わせると爪を噛むことができます。
これが癖になることで、下の顎が前に出てしまい、反対咬合、受け口を助長するようになるのです。
咬爪癖は、3~4歳頃から始まり、小学校から思春期にピークを迎えるといわれています。
また、下の顎の成長のピークも、やはり思春期にピークを迎えます。
ですので、思春期を迎える頃に、気づいたら、受け口になっていたという事もあるのです。
また、一般的な歯の硬さは、歯のエナメル質(歯の表面を覆う硬い組織)によって決まります。エナメル質のモース硬度は、5です。モース硬度は、鉱物の硬さを示す尺度で、1が最も柔らかいタルク、10が最も硬いダイヤモンドです。ちなみに、一般的な爪の硬さは、モース硬度で約2.5とされています。
もちろん、エナメル質の方が硬いのですが、エナメル質は、摩耗や酸に弱く、欠けてしまう事があります。
やはり咬爪癖の子は、前歯が欠けている子が多いです。
私達が、保育園や、幼稚園、小学校に検診に行く時、前歯が欠けていないかを見るのは、つまりは、咬爪癖がないかどうかを見ているのです。
咬爪症は歯並びに影響する他、爪を噛んでしまうことで爪が変形していき必要以上に爪が短くなってしまいます。
爪の変形が強いと噛むのをやめても爪の形が元に戻らないことがあります。
爪を噛む原因と対処方法
咬爪癖の原因はいくつかありますのでご紹介致します。
まず、ストレスや不安などの精神的な緊張や不安から爪を噛む行動を引き起こすことが多いです。
また、退屈や暇つぶしで、手持ち無沙汰や退屈な時に爪を噛むことがあり、爪を噛むことで得られる感覚的な満足感を得るとそれが習慣化して癖になってしまいます。
家族に同じ習慣を持つ人が多い場合、遺伝的な要因が関係していることもあります。
咬爪症へのアプローチ方法として、ストレスが起因させている場合はストレスを取り除いていくことが大切です。
爪を噛んでしまう癖を自覚して、噛まないように意識することも必要です。
また、爪を噛まないように絆創膏で爪を覆ったり、ジェルネイルやアクリル樹脂を使用した人工の爪で自爪をコーティングしたりすることで自然に噛み癖が治っていくことがあります。
[執筆者]
那須 一仁
医療法人社団三仁会那須歯科医院 院長
足立区梅田で医療法人社団三仁会 那須歯科医院を開業して15年、お子様からシニア層まで3世代ご家族で安心して来院していただける「怖くない、痛くない、相談できる」歯科医院を目指して診療して参りました。
日々進歩し続ける歯科業界で患者様に最先端の精密な治療を提供できるよう、CTや口腔内スキャナー、マイクロスコープなどのシステム導入と技術向上に邁進することはもちろん、地域の人が歯科医院に無理なくいつでも通えるよう足立区内と草加市新田に5医院を開院し各院連携して日々診療しております。
また休診日には、まだ医療発展途上の国に自社製マウスピース矯正システムSAIDO SMILE ALIGNERを普及するべく、新たなプロジェクトNASU CONSORTIUMの代表としてバングラディッシュへ渡り、現地でセミナーを開催するなど世界的な歯科技術向上への架け橋となれるよう尽力しているほか、執筆活動を通じてよりたくさんの人へ歯への関心を高めてもらえるよう365日全力で歯と向き合い続けております。
医療法人社団三仁会那須歯科医院
http://nasushika.com/