処方された薬って、体調が回復してくると飲み忘れがちだけど、きちんと飲み切った方がいい?自己判断で飲むのをやめても問題ないもの?前にもらった時と同じような症状なら残った薬を飲んでも問題ない?そんな疑問について、今回はなかざわ腎泌尿器科クリニック院長、中澤佑介先生にお答えいただきました。

子どもが体調を崩して病院を受診すると、薬を処方されることがあります。熱が下がったり、咳や鼻水が落ち着いたりすると、「もう元気そうだから、薬はやめてもいいのかな?」「前に残った薬を、また同じ症状のときに使ってもいいのかな?」と迷う保護者の方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、薬によって『飲み切るべき薬』と『症状に合わせて使う薬』があります。
大切なのは、自己判断で中止したり、飲み残した薬を次回に使ったりせず、医師や薬剤師に薬の種類と指示内容を確認することです。
「飲み切ってください」と言われた薬は、基本的に最後まで
特に注意したいのが、細菌による感染症に使われる抗菌薬です。一般に「抗生物質」と呼ばれることもあります。
抗菌薬は、原因となる細菌を減らすための薬です。熱が下がったり、のどの痛みが軽くなったりすると「治った」と感じるかもしれません。しかし、症状がよくなったように見えても、体の中に細菌が残っていることがあります。途中でやめると、感染症がぶり返したり、治りにくくなったりすることがあります。
たとえば、子どもにも多い溶連菌感染症では、重い合併症を防ぐため、抗菌薬を医師の指示通りに飲み切る必要がある場合があります。厚生労働省の「抗微生物薬適正使用の手引き」でも、溶連菌による急性咽頭炎では、解熱したからといって自己判断で中止しないよう説明されています。
また、抗菌薬を必要のないときに使ったり、量や期間を守らずに使ったりすることは、薬が効きにくい細菌、いわゆる薬剤耐性菌を増やす原因になります。薬剤耐性は、将来、感染症の治療を難しくする大きな問題です。厚生労働省や内閣感染症危機管理統括庁も、抗菌薬は必要な場合に、適切な量を適切な期間、医師や薬剤師の指示を守って使うことが重要だとしています。
つまり、「熱が下がった」「元気になった」は、治療がうまく進んでいるサインではありますが、薬をやめてよいサインとは限りません。
処方時に「何日分飲み切ってください」と言われた薬は、指示された期間を守りましょう。
解熱剤や痛み止めは、必ず飲み切る薬ではないことも
一方で、すべての薬を最後まで飲み切る必要があるわけではありません。
たとえば、発熱時の解熱剤、頭痛や腹痛の痛み止め、吐き気止めなどは、症状があるときに使う頓服薬として処方されることがあります。頓服薬とは、「毎食後に必ず飲む薬」ではなく、「必要なときに使う薬」という意味です。
薬袋や説明書に「発熱時」「痛いとき」「吐き気があるとき」などと書かれている場合は、症状に合わせて使う薬であることが多いです。熱が下がって元気に過ごせている、痛みがなくなった、吐き気が落ち着いたという場合には、無理に使い切らなくてもよいことがあります。
ただし、見た目が似た薬でも、目的や使い方が違うことがあります。「1日3回、毎食後」「朝夕食後」などと書かれている薬は、症状が軽くなっても決められた期間続ける必要がある場合があります。
迷ったときは、薬局で
「この薬は飲み切る薬ですか?症状がなければ使わなくてよい薬ですか?」
と確認しておくと安心です。
飲み残した薬を、次に同じ症状が出たときに使ってもいい?
これは、基本的にはおすすめできません。
同じ「発熱」「咳」「鼻水」「腹痛」に見えても、原因は毎回同じとは限りません。ウイルスによる風邪、細菌感染、喘息、アレルギー、胃腸炎、便秘など、症状が似ていても必要な対応は異なります。
特に子どもの場合は、体重によって薬の量が変わります。数か月前に処方された薬が、今の体重や症状に合っているとは限りません。また、兄弟姉妹で体格や体質が違うため、きょうだい間で薬を使い回すことも避けましょう。
処方薬は、医師がそのときの診察結果、年齢、体重、持病、アレルギー、ほかに飲んでいる薬などを考えて出しているものです。自治体の医療情報でも、処方薬は処方された本人の治療のためのものであり、他人への譲渡や使用は健康被害のおそれがあると注意喚起されています。
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