子どもを保険金の受取人にしたほうが節税になるっていうけど、ほんとなの?
そんな疑問について、一級ファインシャルプランナーとして、15年以上の経験を持つ株式会社K’sプランニング代表取締役の水野圭子さんにお答えいただきました。
生命保険の受け取り人は子どもにした方がいいの?
皆さんは保険金受取人を誰にされていらっしゃいますか?
ご家族がいる場合には配偶者を指定するケースが一般的ですが、実は子どもを受取人にした方が節税になることもあります。このコラムでは、配偶者を受取人にする場合と子どもを受取人にする場合の違いやメリット・デメリットについて、わかりやすく解説します。
1:生命保険の受取人はどう選ぶ?
生命保険の受取人には、原則として配偶者や二親等以内の血族(子ども、両親、祖父母、孫、兄弟姉妹)を指定できます。たとえば、子どもを受取人にする場合、実子であれば親権がない場合でも可能ですし、養子縁組をした子も含まれます。
生命保険の受取人を決める際は、亡くなった後の生活をどのように支えたいかを考えることが大切です。一般的に配偶者を受取人に指定することが多いですが、子どもを受取人に指定することで節税につながる場合もあります。
2:配偶者を受取人にした場合
<メリット>
手続きが簡単:配偶者は法律上の相続人で保険金の受け取りがスムーズです。
生活費の安定:すぐに生活費やローン返済に使えるため、家計を支える役割を果たします。
<デメリット>
課税の可能性:保険金が高額になると相続税が発生する場合があります。
資金の用途が限定されない:配偶者が保険金をどのように使うかは本人次第で、教育費や子どもの将来の資金として十分に確保されないリスクがあります。
3:子どもを受取人にした場合
<メリット>
節税効果:受取人が複数の子どもである場合、1人あたりの非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用し、相続税を軽減できます。
<デメリット>
手続きが複雑:未成年の子どもが受取人の場合、親権者や後見人の管理が必要になります。
即時利用の難しさ:保険金を生活費としてすぐに使うのが難しい場合があります。
上記のように、保険金受取人を配偶者にするか子どもにするかを比較したとき、税金面での違いは二次相続も考慮した場合です。
どちらの場合にも、生命保険には「500万円 × 法定相続人の数」*1という非課税枠があります。この枠を活用するためには、受取人を複数に分けるのが効果的です。
そもそも配偶者の場合、配偶者の税額軽減(配偶者控除)*2が適用されるため、法定相続分もしくは1億6,000万円のいずれか大きい方の金額の範囲内で財産を相続しても、相続税がかかりません。したがって、配偶者はこの非課税枠を使わずに相続税の計算ができるため、子どもに非課税枠を使ったほうが節税になるといわれています。
4:節税のための具体的な方法
保険金の金額が大きいほど、受取人の設定が節税に与える影響は大きくなります。
●受取人を分散する
配偶者と子どもをバランスよく受取人に設定し、非課税枠を最大限活用します。お子さんが複数いる場合、受取割合(%)を指定することも可能です。
●専門家に相談する
相続税対策は家庭ごとの財産状況や家族構成によって異なります。税理士やファイナンシャルプランナーに相談して、最適なプランを立てましょう。
●定期的な見直し
家族構成や財産状況が変化した場合には、保険の受取人を見直すことも重要です。たとえば、お子さまが成人したり、財産が増えたりした場合に再検討するのが効果的です。
まとめ
いかがだったでしょうか?生命保険の受取人を子どもにすることで、節税効果や遺産分割のスムーズさが期待できます。ただし、家庭の状況によって最適な選択は異なりますので、専門家に相談しながら慎重に検討することをおすすめします。
【出典】
1:財務省HP「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
2:財務省HP「No.4158 配偶者の税額の軽減」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm
3:財務省HP「No.4158 配偶者の税額の軽減」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm