子どもが盗みをしてしまった!こんな時、どうしたらいいんだろう?どんな対応ができる?そんな悩みについて、今回は、臨床心理士であり、小学校教諭、保育士の資格もある一般社団法人マミリア代表理事の鎌田怜那さんにお伺いしました。

幼少期の子どもの「盗み」について
年齢が低ければ低いほど、衝動性が問題になります。4歳以降になれば、人のものを盗ることはダメなことはわかっていますが、それでも盗むのは、自分の気持ちを抑えきれないコントロール・自律の力が不十分だと考えられます。
また、「盗んでいる」認識がないこともあり、盗った事実だけを見て叱っても効果は期待できません。子どもには、何が間違っていてどうすることが適切なのか・・・を繰り返し伝え続ける必要があります。
「盗み」自体にメッセージが含まれていることも多々ある
きょうだいの誕生によって、盗み現象が見られることもあります。
子ども本人としては「ママを取られた」ことの不快感が現象として出てしまうことがあります。これも、本人にははっきりと自覚がないことが多いです。両親の離婚で環境が大きく変わることや、可愛がってくれていた祖父母が亡くなったなども根底は同じ「昔の幸せを取り返す」現象でもあります。言葉にならない心の痛みに寄り添うと、現象は出てこなくなります。
「いい子」として育っている子にも盗み現象は見られます(意外にこのパターンは中高生の女子にも見られます)。
「いい子」は、親に叱られないように事前に回避する力に長けているとも言えます。それゆえ、「叱られるとどうなるか」を経験したことがなく、叱られることへの恐怖心だけが膨らんでいることがあります。それ故、「いい子」の部分だけ親に見せ、叱られそうな自分はひた隠しにしています。
このように親にちゃんと叱られたことがない子の盗み現象は、「私の悪い部分も含めて私を見て」という悲痛なメッセージと理解できます。盗みが見つかって叱られてもどこか嬉しそうにしていることがあり、周囲から反省していないと誤解されてしまうこともあります。
このように色々な背景を含む現象のため、一つひとつ丁寧に現象・背景を理解していきたいところです。しかし、「盗む」という現象は誰にでも生じることではなく、その子特有のサインとして受け止め、理解していいただきたいです。「いつか止むだろう」と見過ごしていると、習慣・癖となり、問題が深刻化する可能性もあります。