子どもの近視が進行に全身性の疾患が関係するって本当?近視の及ぼす影響について日本眼科学会認定眼科専門医野口先生にお伺いしました。

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子どもの近視に関連する全身疾患


子どもの近視が進行する場合、まれに全身性の疾患が隠れている可能性があります。
マルファン症候群は、眼球が異常に長くなるため、近視が急速に進行することが特徴です。その他にも、マルファン症候群は心臓や骨格の異常も伴うため、早期の診断と全身的な管理が必要です。
スティックラー症候群は、網膜剥離や眼球の異常を伴う遺伝性疾患であり、幼少期から急速に進行する近視が特徴です。この疾患は、視覚障害を引き起こすリスクが高く、早期の診断と治療が求められます。スティックラー症候群の患者は、耳の異常や関節の問題も伴うことが多いため、全身的な管理が重要です。
ドンネイ-バロー症候群は、希少な遺伝性疾患であり、聴覚障害や発達遅延、網膜異常を伴います。この症候群の患者では、近視が早期から進行することが多く、特に視力の管理が重要です。視覚障害のリスクが高いため、早期の眼科的介入が必要となります。

結論

子どもの近視は、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って発症し、進行すると多くの眼疾患のリスクを高める可能性があります。適切な環境調整や薬物治療、さらには成人期における適切な手術療法によって、その進行を抑制し、将来的な視力の低下を防ぐことが重要です。また、まれに全身疾患が関与している場合もあるため、早期の診断と治療が求められます。特に低レベルのレッドライト治療のような新しい治療法も、近視の進行を抑える有効な手段として期待されています。子どもの視力を守るために、包括的なアプローチが不可欠です。子どもの視力が落ちてきたな、と感じたら眼科医に相談することをおすすめします。

1.DynaMed LLC. "Refractive Errors in Children". Released May 4, 2024.
〇対応文: 全体的な概要部分、および近視の原因、眼疾患のリスク、治療法に関する基本情報。
2.Acta Ophthalmol. 2022;100(3):302.
〇対応文: 近視の進行を抑制する方法に関する情報(特に屋外活動の増加による効果)。
3.J Curr Ophthalmol. 2018 Mar;30(1):3.
〇対応文: 屈折異常の原因および環境的要因の影響に関する情報。
4.Nat Rev Dis Primers. 2020 Dec 17;6(1):99.
〇対応文: 強度近視による眼疾患のリスク、特に緑内障および網膜剥離に関する情報。
5.Br J Ophthalmol. 2020 Mar;104(3):363.
〇対応文: 近視の進行抑制に関する最新の研究、特に多焦点ソフトコンタクトレンズの効果に関する情報。
6.Optom Vis Sci. 2019 Apr;96(4):276.
〇対応文: 環境的要因、特に室内照明の影響に関する情報。
7.Cochrane Database Syst Rev. 2020 Jan 13;1.
〇対応文: オルソケラトロジー(Ortho-K)および低濃度アトロピン点眼薬の効果に関する情報。
8.Cochrane Database Syst Rev. 2023 Feb 16;2(2).
〇対応文: 近視の進行抑制におけるレンズの使用(多焦点レンズおよびレッドライト治療)の有効性に関する情報。
9.Cont Lens Anterior Eye. 2021 Aug;44(4):101350.
〇対応文: 多焦点コンタクトレンズおよびオルソケラトロジーの使用による近視進行抑制に関する情報。
10.Ophthalmology. 2019 Jul;126(7):989.
〇対応文: 緑内障や後部ぶどう膜症のリスクに関する情報。
11.Ophthalmology. 2024 Jan;131(1):48.
〇対応文: 低レベルのレッドライト治療に関する最新の研究結果。
12.Am J Optom Physiol Opt. 1981 Aug;58(8):671.
〇対応文: 白内障と近視の関係、および近視に関連する他の目の疾患に関する情報。
13.Int J Sci Res. 2015 Aug;4(8):125.
〇対応文: 近視の原因や進行に関する基礎的な研究。
14.J Pediatr Ophthalmol Strabismus. 2021 May;58(3):196.
〇対応文: 近視と関連する全身疾患(特に遺伝性疾患)に関する情報。
15.Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)#222448.
〇対応文: マルファン症候群やスティックラー症候群などの遺伝性疾患に関連する近視の進行に関する情報。
16.https://asuca-eye.com/ 全文の記事に関しての引用

[執筆者]

野口三太朗先生
医療法人Tri-NEXT理事長

2006年、東北大学医学部卒。
複数の病院で腕を磨き、2021年に大阪大学大学院博士課程修了。
2022年、ASUCAアイクリニック仙台マークワン主任執刀医に就任。
数万件に上る執刀経験を持ち、海外からの情報をいち早く取り入れ、治療に活かしている。
世界初、日本発という臨床研究を多く手がけ、最新技術の導入に努める。

保有資格(専門分野):
・日本眼科学会認定 眼科専門医
・笑気麻酔鎮静エキスパートインストラクター
・Rayner社 多焦点眼内レンズライセンス認定医
・角膜内リング フェラーラリング認定医
・EYEOL社 三焦点眼内レンズ(TriDiff, IPCL三焦点回折)Executive Proctor認定医
・ICL認定医
・2016-2020 AAO Young Ophthalmologist
・医学博士

アスカアイクリニック仙台マークワン
https://asuca-eye.com/

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