子どもと会話が噛み合わず疲れてしまうとお悩みではありませんか?その背景には言葉の発達やコミュニケーション上の原因が隠れている場合があります。たけうちファミリークリニック院長の竹内雄毅先生が、言葉の伝わりづらさの要因と、家族ができる接し方をわかりやすくアドバイス。良好な親子関係を築くヒントをお届けします。

「一方的に話し続けてしまう」「急に話題が変わる」「人の話をさえぎってしまう」——会話がうまくかみ合わないお子さんの様子に、心配になる保護者の方は少なくありません。今回は、会話のキャッチボールが難しい背景にあるものと、家庭でできる関わり方についてお伝えします。
なぜ会話のキャッチボールが難しいのか
一口に「会話のキャッチボールができない」といっても、様子はさまざまです。話し始めると止まらず一方的に話し続けてしまうタイプ、伝えたいことがまとまらず会話を区切れないタイプ、相手の話に割って入ってしまうタイプ、話題が次々と変わってしまうタイプなど、いくつかのパターンがあります。話題が飛びやすい様子は、俗に「話があちこち飛ぶ」というような表現をされることもありますが、これは正式な医学用語ではなく、あくまで様子を表す言い方のひとつです。
こうした様子の背景には、いくつかの発達上の特性が関係していることがあります。ひとつは、自閉スペクトラム症に伴う社会的コミュニケーションの特性です。相手の意図や場の空気を読み取ること、話題を共有しながら順番にやりとりすることが苦手な場合があります。
また、行動や興味に反復的なこだわりが目立たないものの、あいさつや状況に応じた会話の調整、ユーモアや比喩の理解といった「言葉を社会的な場面でどう使うか」に難しさがある場合、「社会的(語用論的)コミュニケーション症」という特性が考えられます。これは自閉スペクトラム症とは異なる分類とされており、幼いころから見られるものの、周囲とのやりとりが複雑になる年齢になってから気づかれることもあります。
そのほか、ADHD(注意欠如・多動症)の特性として、思いついたことをすぐ口に出してしまう、順番を待つことが苦手といった形で、会話のキャッチボールの難しさにつながることもあります。
「まわりの大人の会話が原因では」と言われたら
「大人との会話のしかたが原因では」と指摘されて悩む保護者の方もいますが、会話の特性は、周囲の関わり方だけで決まるものではありません。発達の特性が土台にあることが多く、保護者の育て方だけが原因と考えて自分を責める必要はありません。一方で、関わり方を工夫することで、会話のしやすさが変わることも事実です。次の項目でできることを紹介します。
気になったら、どこに相談すればいい?
発達の特性のあらわれ方は一人ひとり異なり、自己判断で診断名を決めることはできません。会話の様子が気になる場合は、かかりつけの小児科や、地域の発達相談窓口、児童精神科、臨床心理士などの専門家に相談することをおすすめします。園や学校での様子も参考になるため、担任の先生と情報を共有しておくとよいでしょう。
家庭でできる工夫
●毎日決まった時間に、お子さんの話をゆっくり聞く時間をつくる
●「~ということだね」と内容を確認しながら聞き、本人が自分の伝えたいことを整理できるようにする
●会話の順番を、絵カードやジェスチャーなどで見える形にする
●同じ興味を持てる友達や活動の場を探す
●自由に話す楽しさを大切にしながら、無理に「正しい会話」を教え込みすぎない
これらは特別なトレーニングというより、日常のやりとりの中で少しずつ取り入れられる工夫です。すぐに変化が見えなくても、焦らず続けることが大切です。
大人の方がしんどくなってしまったとき
お子さんの会話の様子を心配するあまり、保護者の方自身が精神的に疲れてしまうこともあります。そうしたときは、一人で抱え込まず、園や学校、かかりつけ医、地域の子育て相談窓口などに気持ちを話してみてください。「うまく話せない子」ではなく「会話の仕方がまだ身についていない子」という捉え方に変えるだけでも、気持ちが少し軽くなることがあります。日常生活に大きな支障が出ている場合や、保護者の方の不安が強い場合は、早めに専門機関へ相談することをおすすめします。
会話のキャッチボールの難しさは、特性への理解と、周囲の関わり方の工夫で、少しずつやりとりがしやすくなっていくことが多いものです。気になることがあれば、一人で悩まず、専門家に相談してみてください。
【参考資料】
・一般社団法人小児心身医学会「コミュニケーション症群」
※本記事の作成にあたり、文章表現の確認や校閲の一部に生成AIを使用しております。
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