人と気軽に話せない・・と悩む子どもに必要なアドバイスを教えて欲しい!そんなお悩みについてお伺いしました。

人と気楽に話せないと悩む子どもへ、どんなアドバイスをしたらいい?今回は一般社団法人インナークリエイティブセラピスト代表 佐藤城人さんにお答えいただきました。

緊張させる言葉使い

気軽に話せる子と話せない子。この違いはどこから生じるのでしょう? 様々な要因が考えられますが、その一つに言葉の使い方が指摘できます。つまり、緊張させる言葉使いを用いる子と、そうではない子の違いです。

早速ですが、簡単なイメージワークにお付き合いください。
小学6年生のあなた。明日、中学受験の日です。そして、あなたの親が次の言葉を投げかけてきました。
A「明日のテスト、ミスしたらダメだぞ」
あなたも10回呟いてください。
どのような場面がイメージできましたか?また、体はどのような反応を示しましたか?

もう一つ、同じシチュエーションで別の言葉を投げかけられたところを想像してください。
B「明日のテスト、大丈夫。うまくいくよ」
あなたも10回呟いてください。
では、どのような場面がイメージできましたか?また、体はどのような反応を示しましたか?

AとBの言葉。
それぞれイメージした場面や体の反応に、違いはありましたか? 概ね、このワークをすると、
Aの「ミスしたらダメ」の場合、
ミスや失敗する場面をイメージしがちです。そして、体はガチガチに緊張します。
一方、B の「大丈夫。うまくいく」の場合、
成功や合格する場面をイメージします。そして、体はリラックスした状態になります。

このワークから分かることは、なにげない言葉であっても、マイナスの場面をイメージさせたり、緊張させたりする言葉使いがあるということです。

Aと似た言葉を幾つか挙げてみましょう。
・失敗してはいけません。
・不合格はダメです。
・遅刻してはいけません。
・ケンカはダメです。
・手を抜いてはいけません。

このような言葉使いを「問題回避型」といいます。
失敗や遅刻などのように問題点を指摘し、「してはいけません」「ダメです」のように否定した言い方です。
前半の否定的な内容を、後半で再度否定する二重否定のような言い方です。この問題回避型に対して、Bの言葉使いを「目的志向型」といいます。

Aの問題回避型を Bの目的志向型に言い換えてみましょう。
・成功しよう。
・合格しよう。
・早めに出よう。
・仲良くしよう。
・一生懸命にやろう。

この問題回避型と目的志向型、どちらが良い悪いというものではありません。
また、誰しも使い分けができます。例えば、危機管理能力を高めたい場合は、問題回避型を意識すれば OKです。問題点を見つけることが得意な思考だからです。
そして、目的や目標に向かって進みたいときは、目的志向型を使ってください。

ただ、ここで一点見落としがちなことがあります。
それが冒頭のワークです。つまり、問題回避型は心身を緊張させる点です。
「緊張するな」と言われても、脳には「緊張」の言葉が残ります。
これは、他の言葉も同じです。失敗・ミス・遅刻などのマイナスのニュアンスの言葉を使うと、たとえ後半打ち消したとしても、やはり脳に強くインプットされ、心身を緊張させてしまうのです。

従って、気楽に会話を楽しみたい場面であれば、
・緊張して話してはダメです。ではなく、リラックスして話そう。
・難しく考えてはダメです。ではなく、気楽にやろうよ。

このように、目的志向型の言葉を意識してはいかがでしょう。

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