子どもがスマホを見た後に目をこすったり、しょぼしょぼさせたりするのはドライアイが原因?他の病気が潜んでいる可能性は?そんな保護者の疑問について、医療法人社団久視会いわみ眼科理事長岩見久司先生に伺いました。受診の目安や日常で気をつけたいポイントまで詳しく紹介します。

「最近、子どもがよく目をこすっている」
「ゲームをしたあとに、目が疲れたと言う」
「目が赤い、しょぼしょぼする」
そんな様子を見て、「スマホの見すぎかな?」と思ったことはありませんか?
ドライアイというと大人の病気というイメージがありますが、実は子どもにも起こります。
ただ、子どもは必ずしも「目が乾く」と上手に表現してくれるわけではありません。目をこする、しょぼしょぼする、目が疲れる、充血するといった様子から気づくこともあります。
そして大切なのは、こうした症状をすべて「スマホのせい」と決めつけないことです。子どものドライアイには、デジタル機器だけでなく、アレルギー性結膜炎など、いくつもの要因が関わっています。
子どものドライアイは、実は珍しくない
2025年、世界の子ども48,479人を含む41論文・42集団をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析が発表されました。
そこで推定された子どものドライアイの割合は23.7%でした。[1]
「では、子どもの4人に1人がドライアイなの?」と思うかもしれませんが、そう単純ではありません。
この研究では、質問票で「目が乾く」「不快感がある」などの症状から判断すると34.6%だったのに対し、実際に眼科的な所見を基準にすると16.6%でした。[1]
つまり、症状があることと、眼科の検査でドライアイの所見があることは必ずしも一致しません。
研究ごとの差も非常に大きいため、「子どもの4人に1人」と断定するのは適切ではありませんが、少なくとも「ドライアイは大人だけのもの」とは言えなくなっています。
ゲームを始めると、まばたきが20.8回から8.9回に
では、スマホを見ているとき、子どもの目には何が起こっているのでしょうか。
興味深い研究があります。
6~15歳の健康な子ども36人に、スマホで1時間ゲームをしてもらい、まばたきや涙の状態を調べた研究です。[2]
普段の会話中には1分間に平均20.8回していたまばたきが、ゲームを始めると8.9回にまで減りました。しかも、この変化はゲーム開始後すぐに起こり、1時間続きました。
半分以下です。
さらに1時間後には、「目が疲れる」「不快感がある」といった症状も悪化していました。[2]
ただし、ここには大切なポイントがあります。
この1時間の実験では、涙の量や涙の安定性などの検査値には明らかな変化は認められませんでした。
つまり、この研究から「まばたきが減ったから涙が乾き、ドライアイになった」と一本道で断定することはできません。
それでも、画面に集中すると、子どものまばたきが急激に減り、検査値に明らかな変化が出る前から目の不快感が増えることは、とても興味深い結果です。
まばたきには、涙を目の表面に広げる大切な役割があります。画面を見るときには、ときどき目を離して休むことが大切です。
「何時間見るか」だけでなく「いつ見るか」も大切
日本の子どもを調べた大きな研究もあります。
東京都内の小学生7,419人を対象に、スクリーンを見る時間と、肥満、運動、ドライアイ、学習などとの関係を調べた研究です。[3]
興味深いことに、ドライアイ症状については、スクリーンを見る「総時間」そのものよりも、寝る直前にスクリーンを見ていることとの関連が認められました。
一方、スクリーン時間が短い子どもほど身体活動が多いという関連も示されています。[3]
ここで注意したいのは、この研究は質問票を用いた観察研究なので、「スマホを見るから運動しなくなった」「寝る前のスマホがドライアイを起こした」と因果関係まで証明したわけではないことです。
しかし、スマホやタブレットの問題を「1日何時間まで」と、画面を見る時間だけで考えるのでは十分ではなさそうです。
いつ見るのか。そして、その時間に本来何をしていたのか。
子どもの1日の過ごし方全体を見る必要があります。
スマホだけではありません。「目をこする」ならアレルギーにも注意
子どもの目で、もう一つ忘れてはいけないのがアレルギーです。
6~15歳の子どもを調べた研究では、アレルギー性結膜炎を伴う子どもでは、伴わない子どもより涙の安定性を示すBUT(涙液層破壊時間)が短く、ドライアイに関連する症状も多いことが報告されています。[4]
つまり、
「目をこする」
「目が赤い」
「しょぼしょぼする」
という症状があっても、ドライアイだけとは限りません。
特に「かゆい」はアレルギー性結膜炎を考える大切な症状ですし、ドライアイとアレルギーが重なっている場合もあります。
ですから、「スマホを減らしたのに治らない」と悩む必要はありません。
そもそもスマホだけが原因ではない可能性があるからです。
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