子どもがダイエットを始めたみたい。食事抜きや運動のしすぎなど、いきすぎないように注意をしたいけれど、怒ったり窘めたりするのは逆効果?そんな疑問について、たいや内科クリニック院長の加藤大也先生にお伺いしました。

子どもが体重を気にして食事をきちんと食べてくれないときは?
「太りたくないから、ご飯はいらない」
「夕食は食べたくないけれど、お菓子なら食べる」
お子さんがそんな行動を取り始めると、保護者の方はとても心配になると思います。叱った方がいいのか、無理に食べさせた方がいいのか、それとも様子を見てよいのか。親として迷うのは当然です。
まず大切なのは、子どもの体重管理を、大人のダイエットと同じように考えないことです。子どもの体は、毎日成長しています。身長が伸び、骨が強くなり、筋肉が増え、脳も心も発達しています。その大切な時期に食事を抜くと、体重は一時的に減るかもしれません。しかし、その代わりに、集中力の低下、疲れやすさ、便秘、貧血、月経不順、骨密度の低下、身長の伸びへの影響などが起こる可能性があります。
特に注意したいのは、「食事を抜いて、お菓子だけ食べる」状態です。お菓子はエネルギーにはなりますが、体をつくる材料である、たんぱく質、鉄、カルシウム、ビタミンなどが不足しやすくなります。たとえるなら、家を建てるのに明かりだけはついているけれど、柱や壁の材料が足りないような状態です。子どもに必要なのは、単にカロリーを減らすことではなく、成長に必要な栄養をきちんと届けることです。
このような時、保護者の第一声はとても大切です。
「ちゃんと食べなさい」
「そんな食べ方をしているからだめなのよ」
そう言いたくなる気持ちは自然です。しかし、責められたと感じると、子どもは食事の悩みを隠すようになることがあります。まずは、食べ方を注意する前に、心の声を聞いてあげてください。
「最近、体のことで何か気になっているの?」
「食べるのが怖くなることがある?」
「誰かに何か言われた?」
このような言葉は、子どもにとって「怒られる場所」ではなく、「相談していい場所」をつくります。食事を抜く背景には、体型への不安、友人関係、SNSの影響、学校での何気ない一言、自己肯定感の低下が隠れていることがあります。
家庭でできる工夫としては、まず食卓を「注意される場所」ではなく、「安心できる場所」に戻すことです。食事中に体重や体型の話をしない。食べた量を細かく評価しない。「これを食べたら太るよ」といった言葉を避ける。その代わりに、「今日は疲れていない?」「学校で楽しいことはあった?」と、体ではなく心に目を向ける会話を増やしてみてください。
食事内容は、完璧を目指す必要はありません。朝食に卵、納豆、ヨーグルト、豆腐、魚、肉などのたんぱく質を一品入れる。甘い飲み物を水やお茶に変える。お菓子を禁止するのではなく、食事の代わりにしない。夕食が遅くなる日は、おにぎりと具だくさんの味噌汁など、簡単でも栄養のあるものを用意する。こうした小さな工夫で、体のリズムは少しずつ整っていきます。
一方で、早めに受診した方がよいサインもあります。体重が急に減った、食べることへの恐怖が強い、食後に吐いている様子がある、下剤やダイエット製品を使っている、疲れているのに運動をやめられない、月経が止まった、立ちくらみが強い、元気がない、食事のことで家族との衝突が増えている。このような場合は、単なるダイエットではなく、摂食障害や心身の不調が関係している可能性があります。
また、体重が急に増えている場合でも、身長の伸びが悪い、強い疲れやむくみがある、のどの渇きや尿の回数が多い、いびきが強い、月経の乱れがある場合は、病気が隠れていないか確認が必要です。体重だけではなく、成長曲線、身長の伸び、学校生活、睡眠、心の状態をあわせて見ることが大切です。
まずは小児科やかかりつけ医に相談してください。必要に応じて、心療内科、児童精神科、管理栄養士などにつなげてもらいましょう。受診は、子どもを叱るためのものではありません。体と心を守るために、家族だけで抱え込まないための大切な一歩です。
子どもに伝えたいのは、「食べることは太るためではなく、生きる力を育てるためにある」ということです。朝起きられること、学校で集中できること、友達と笑えること、好きなことを楽しめること。その土台をつくるのが、毎日の食事です。
親子で目指すべきなのは、細い体ではありません。安心して未来に向かえる体です。
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